卓話時間
第1545例会
2012年06月11日 (月曜日)
- タイトル :
- ゲスト卓話「広島の酒の歴史」
- 卓話者 :
- 広島県酒造組合連合会
技術顧問 末成和夫氏
「広島の酒の歴史」
1.広島の酒の歴史
日本酒は縄文時代に日本へ水稲の渡来から始まる。広島地方での日本酒の歴史は奈良時代、万葉集に備後を含む吉備地方が酒の産地であったと和歌に詠まれている。この時代に広島地方で日本酒造りがはじまっていたことが分かる。その後、尾道、三原、竹原、旧加茂郡、広島、廿日市地方で発展してきた。
広島で日本酒が発展してきたのは、広島の気候風土、酒造りの技術を持つ杜氏、酒造りに適した水、米、酵母などに恵まれていたからです。
1) 気候風土
広島の気候は温暖な瀬戸内海地方と北国並みの中国山地とでは大きく異なる。そのため、同じ「広島の酒」であっても甘口から辛口、淡麗から濃醇までの日本酒が県内で造られている。
2) 人(杜氏)
広島には「神技」を持つと言われている広島杜氏(酒造責任者)がいます。
明治時代から昭和時代、酒造り職人の「三浦仙三郎」、醸造学者の「橋爪陽」が杜氏をサポートして広島の酒の発展に貢献した。
第1回全国清酒品評会(明治40年、出品点数2,038点)で広島県は優等賞5場の内2場が受賞し、優等から3等までの受賞率が74%で県別受賞率1位と素晴らしい成績を挙げ「広島酒」の名声を日本国内に示した。
3) 水、米、酵母
広島は中国山地の豊富な水、水質(酒造りに適した)に恵まれている。広島県中、北部は酒米生産に適した気候に恵まれ、酒造家に良好な酒米を供給している。
広島県は県独自の酒米、酵母を開発し酒造会社へ供給して広島酒の品質向上に寄与し、広島県産酒の名声を高めている。
4) 終わりに
広島県、広島県酒造組合は酒米、酵母等の研究開発、技術指導及び後継者育成(杜氏)を行い広島県酒造組合業界の発展に寄与しています。
中国五県の清酒消費数量を観ると、広島県は自県消費率が他県より高く、県産酒の愛飲家が多いことが分かる。
これからも、広島の酒は品質が良く、何時、何処で飲んでも美味しいと言って頂ける「広島の酒」を愛飲家の皆様に提供して行きたいと考えています。
参考文献
(1)日本酒造組合中央会:ホームページ
(2)広島市郷土資料館広島の酒造史、p.9-24(2002)
(3)広島県酒造組合:ホームページ