卓話時間

第1747例会
2017年04月17日 (月曜日) 12:30
広島原爆障害対策協議会 平松恵一会長(RC会員)
同協議会健康管理・増進センター 藤原佐枝子所長(RC会員)
広島市医師会臨床検査センター  谷敷圭美センター長
第1746例会
2017年04月10日 (月曜日) 12:30
アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
第1745例会
2017年04月03日 (月曜日) 12:30
脚本家 鴨 義信氏

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第1363例会

2008年02月08日 (金曜日)

タイトル :
ゲスト卓話「血液事業の現況」
卓話者 :
広島県赤十字血液センター渉外課長
 戸根安洋(とね やすひろ)氏

戸根安洋課長

広島中央ロータリークラブの皆様におきましては、献血推進にご協力いただくことになり大変ありがたく思っています。そこで、このたびは、血液事業の現状につきましてお話させていただきたいと存じます。
血液事業とは
献血していただける人を募集し、その人から 血液を採取し、血液製剤(輸血用血液製剤・血しょう分画製剤)治療を必要とする患者さんのため、製造・供給する一連の事業のことをいいます。

献血とは
血液を必要としている見知らぬ誰かのために、健康な人々が自発的に自分の血液を無償で提供する行為です。 
血液事業の法的根拠  
1964年(昭和39年)8月の閣議で輸血用血液は献血によってのみ確保することを決定しました。その結果、国や地方公共団体は、献血思想の普及と献血者の組識化を図り、日本赤十字社は献血の受入れを行うこととなり、現在に至っています。しかし、法的根拠はありませんでした。そこで、2003年(平成15年)7月30日に、血液製剤の安定供給をめざす「国内自給の確保」を基本理念とした「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」が施行されました。

「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」 
(目的)
   血液製剤の安全性の向上
   安定供給の確保
   適正使用の推進 
(基本理念)
   血漿分画製剤を含む血液製剤の「国内自給」
※国、地方公共団体、採血事業者、血液製剤の製造業者及び医療関係者の責務が明記。
広島県での献血受入れ体制について
・ 移動献血バス(6台所有):年間稼動数:1,306稼動(H18) 
1日最大5稼動まで全血献血のみ実施                 
・献血ルーム「 「もみじ」 (広島市中区本通)
         ベッド数: 22台(うち成分用19台)  定休日:なし
         受付時間:10:00~18:30     
献血ルーム「ばら」 (福山市三之丸町)
        ベッド数: 13ベッド(うち成分用11台)定休日:土曜日
        受付時間10:00~12:30 14:00~17:30

献血にご協力いただける基準
  献血される方と、輸血を受けられる方の安全を考慮して献血種類別に年齢、体重、採血間隔等様々な基準が設けられています。400mL献血は、男女とも18歳以上の方で体重50kg以上の方にお願いしています。事前検査、問診等により、ご遠慮いただくこともあります。
献血の流れ
(1)受付・問診票の記入    献血申込書をご記入いただきます。
(2)問 診             献血される方と輸血を受ける患 者さんの安全を確保するために行ないます。ご記入いただいた問診票に基づいた問診と血圧測定を行います。
(3)事前検査            貧血の心配がないか、ヘモグロビン量の測定と血液型の判定を行います。成分献血の場合は、血小板数の測定も行います。     
(4)献  血                採血にかかる時間は、200・400mL献血で10-15分程度かかります。成分献血は採血量に応じて40-90分程度時間がかかります.
(5)献血後        休憩場所で充分に飲み物をおとりになり、しばらく休憩していただきます。最後に献血カードをお渡しします。
献血された血液の行方
(1)検  査    献血された血液は、血液センターに運ばれ、血液型検査や感染症予防のための抗原・抗体検査、献血後にお知らせする生化学検査などを行います。また、核酸増幅検査(NAT)を実施するため、NAT用検体はその日のうちに空路あるいは陸路を使い全国3カ所(東京都・北海道・京都府)のNAT施設に運ばれます。
 NAT施設では24時間365日体制で検体を受け入れ、血清学的検査に合格した血液についてNATを実施しています
核酸増幅検査(NAT)とは
抗原・抗体検査はウイルスなどに感染した後、血液中に産生される抗原や抗体を検出する方法であるため、感染後しばらくは、感染していることを検査で検出できない期間(ウインドウ・ピリオド)があります。
 核酸増幅検査(NAT)は、抗原や抗体ではなくウイルスを構成する核酸(DNAまたはRNA)の一部を約1億倍に増幅してウイルスの有無を検出します。これにより、検査で検出できない期間の短縮を可能にします。
(2)製 剤 化   献血された血液は、そのままのかたちで輸血されることはありません。現在は、患者さんの必要とする血液成分のみを輸血する「成分輸血」が主流となっています。
このため、遠心分離という操作を機械で行って成分ごとに血液を分離調整を行います。
(3)保管・供給   輸血用血液は、医療機関からの発注があるまで冷蔵庫や冷凍庫でそれぞれの製剤に最も適した条件で保管され、発注が入り次第、迅速に供給されます。【赤血球製剤】【血漿製剤】【血小板製剤】
疾病別輸血状況(2005東京都健康局調べ)「輸血」=「交通事故で出血多量」のイメージをお持ちの方も多いと思います。 
ですが実際には、輸血用血液は悪性新生物(いわゆる「がん」)の治療に最も多く使用されています(45.3%)。
広島県献血状況   平成18年度は広島県で約12万7千人の方にご協力いただきました。近年は400mL献血と血小板成分献血者数が増加し、200mL献血者数は減少しています。
輸血用血液の供給状況
 輸血の安全性を高めるため、400mL献血、血小板成分献血の需要が増加しています。

課   題
(1)年間通じた血液の安定確保 
 献血者数は、気候の厳しい夏・冬季、年末・年始等協力が得られにくいのですが、輸血に使用される血液の量は年間ほぼ同量です。このため、時季によっては、在庫が厳しい状況に陥ります。年間通じて安定的なご協力が必要です。血液センターでは、2ヶ月先までの在庫予想を立て、早めの対策を講じて、安定確保に努めています。
(2)将来にわたって持続可能な献血制度の確立
 急速な高齢社会への移行により、輸血を受けられる年代層が増加する反面、献血可能人口が減少します。若年層を中心に幅広い年代層の方への啓発を一層強化し、将来にわたって、血液製剤を献血でまかなえる体制づくりが不可欠です。
(3)より安全性の高い血液の確保
 輸血の安全性を高める様々な取り組みを実施していますが、輸血による感染症等のリスクをゼロにはできません。このため、同量の輸血でも少人数からの血液でまかなえる400mL献血、成分献血の推進をさらに推進していかなければなりません。

Posted by 事務局 at 12時30分

2016-2017年度

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2017 6/30Friday

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