卓話時間
第1621例会
2014年04月21日 (月曜日)
- タイトル :
- 新会員卓話「自己紹介」
- 卓話者 :
- 好永裕一君
1.はじめに
私は,昨年7月に,緒方俊平先生,福田浩先生にご推薦いただきまして,伝統ある広島中央ロータリークラブに入会させていただきました。
本日は,貴重なお時間を頂戴しまして,私の自己紹介をさせていただきます。
今回自己紹介の準備をするにあたって,これまでの出来事を振り返りまして,人との縁に恵まれてきたこと,人との縁が今に繋がっていることを実感致しました。そこで,今回は今に繋がる人との縁を中心にお話させていただきます。
2.学生時代
私の学生時代についてお話します。小学校は,母が,広大附属小学校に通われている知り合いの方から勧められて,何の準備もせずに受験しました。広大附属小学校は,今はどうか知りませんが,受験でくじがあるのが特徴で,くじに当たらなければ入れない学校でした。運良くくじに当たったので広大附属小学校に入学しました。入学してわかったことは,他の子は幼稚園のときから勉強をしっかりしていて,何の勉強もせずに入学した私などは例外だったということです。そんな訳で,最初から落ちこぼれでした。とはいえ,同じ附属中学校に入学するためには受験勉強をしなければなりません。良い塾があるというので,母が探してきた塾が「影本塾」でした。「影本塾」は,先月まで当ロータリーに在籍されておられました,影本先生のお父上が教鞭を執っておられる塾でした。「影本塾」では落ちこぼれの私を厳しく指導していただきまして,何とか附属中学に入学することができました。影本先生のお父上には大変感謝しております。ここで影本先生にお礼をお伝えしたかったのですが,お伝えすることができないことが大変残念です。
中学校では,他の小学校から優秀な生徒が入学してくるので,私はまたあっという間に落ちこぼれました。そして,附属高校へはエスカレーターで進学できるので,6年間勉強することなく,のんびりしていたら,高校3年生の時の模擬試験で偏差値30台という成績を取るまでになりました。
このように高校時代も成績は悪かったのですが,進路については,実は中学生のころから弁護士になりたい,そのために法学部に入りたいという思いだけはありました。といいますのも,祖父が岡山で弁護士をしておりまして,夏休みや冬休みに祖父方に遊びに行った際,いつも生き生きと仕事をしているのを見て,定年もなくいつまでも人に頼られて仕事ができるなんて良いなと思ったのが,弁護士を目指したきっかけでした。実際弁護士になってみて,年をとっても依頼者から頼られる弁護士になるには必死の努力を続けなければならないことが分かりました。どの仕事も同じだと思いますが弁護士も端から見るよりよほど大変な仕事でした。
話を元に戻します。高校卒業時には法学部をいくつか受験したのですが,当然のように全滅しました。一浪して,何とか東京都立大学の法学部に入ることができました。
大学では,何故か落語研究会に入って,落語をすることもなく,日々部室で麻雀をして過ごしていました。一方で,弁護士になりたいという気持ちはありましたので,ろくに勉強もせずに在学中から司法試験を受けましたが,当然箸にも棒にもかかりませんでした。
大学卒業後は,司法試験の勉強に専念するということで,司法試験受験生のための受験団体に入りました。この受験団体は,中村護という弁護士の先生が,所有する建物を司法試験受験生のために自習室として提供され,そこに集まって勉強するというものでした。この受験団体では,年1回ソフトボール大会があって,その時の写真がこれです。左端に写っているのが私です。受験団体に入ってから司法試験の1次試験には受かるものの,2次試験には落ち続けました。なかなか受からなくて将来が見えずに不安で一杯でしたが,そんな子を抱えた親の方がよほど大変だったろうと今では思います。
そうこうしているうちに,試験制度が変わって,法科大学院を卒業した者が受けられる新司法試験が始まりました。ここまで続けてきたのだからというので,30歳半ばで法科大学院に入り,新司法試験に合格することができました。
将来のどうなるか分からない私を支えてくれた両親には感謝以外ありません。
3.弁護士になってから
平成21年12月に弁護士となって,1年半勤務弁護士として経験を積ませていただいた後,平成23年7月によしなが法律事務所を開所しました。開業時に事務所のあるビルの各テナントにご挨拶に伺ったのですが,その一つが「高田歯科」でした。大変感じのよい女性の先生で印象に残っていたのですが,実はその先生は副幹事の高田先生の奥様でした。このことはロータリーに入らせていただいた後に知ったのですが,人の縁は不思議なものだと思いました。
当ロータリーでは,私は刑事弁護士という職業区分ですので,刑事裁判の話をさせていただきます。ご存じかもしれませんが,刑事裁判というのは99%有罪となっている現実があります。そんな中で,私が今まで担当した刑事裁判の中で1件だけ無罪をとった事件があります。事件の内容は,年老いた母の家に,姉が言いがかりをつけにきて,それを妹が諫め,何度も帰るよう姉に求めたが,姉がいつまで経っても帰らないので,妹が姉の服の胸のあたりを掴んで軽く揺すって帰るように言ったというものです。これで,妹は暴行罪として起訴されたのですが,母に対する正当防衛ということで無罪になりました。ただ,この無罪は私が1人でとったものではなくて,緒方先生が代表を務められた弁護団の一員としてとったものです。この弁護団に入れていただいことがきっかけで,緒方先生とご縁ができ,以来,先生には非常によくしていただきまして大変感謝致しております。
あと,一つだけ仕事のお話をさせていただきますと,現在私はB型肝炎訴訟弁護団に所属しております。B型肝炎訴訟とは,子供のころに受けた予防接種での注射器の回し打ちが原因でB型肝炎に感染したとして,国対して損害賠償を求める裁判です。平成23年6月28日に国との間で和解が成立し,一定の条件を満たしたB型肝炎感染者は給付金を受け取れるようになりました。ただ,この裁判で救済されるB型肝炎患者はごく一握りです。厚生労働省の推計でも全国に40万人以上,予防接種が原因でB型肝炎に感染された方がいるはずですが,実際に裁判の原告となっているのは全国で1万人くらいしかいません。当然,1万人全員が救済を受けられる訳でもなく,条件を満たして給付金を受け取れる方はその中で6千人余りです。訴訟で救済されない患者が多くいることから,B型肝炎訴訟の原告団,弁護団で最近力を入れている活動に,B型肝炎を含む全てのウィルス性肝硬変,肝がんの医療費助成を求める運動があります。具体的には,全国で肝硬変,肝がんの医療費助成を求める署名を集めて,国会に提出し,医療費助成の法律を成立させようというものです。私は,弁護団として香川県を担当しておりますので,記事にありますように,高松市で署名活動を行い,高松市議会に働きかけ,市議会で請願についての議決をいただきました。肝硬変,肝がんにかかると治療費や,病気で仕事が十分出来なくなることで多大な負担を負うことになります。ご協力いただける方は署名用紙をお渡しいたしますので,是非一筆でも二筆でもご署名いただければ幸いです。
4.以上で,簡単ではありますが,私の自己紹介とさせていただきます。緒方先生,土肥会長をはじめ,広島中央ロータリーには沢山ご縁がある方がいらっしゃいます。また,ロータリー入会後も会員の皆様には公私に亘ってお世話になっておりまして,誠に有り難いご縁をいただいたものと大変感謝しております。そういったご縁を大切にして,広島中央ロータリーを盛り上げて行くため頑張っていきたいと思いますので,何とぞよろしくお願い申し上げます。