卓話時間
第1602例会
2013年10月28日 (月曜日)
- タイトル :
- ゲスト卓話 [ 伝統的工芸品 宮島彫り ]
- 卓話者 :
- 宮島彫伝統工芸士 広川和男氏
宮島細工は江戸時代末期を源として、宮島彫(彫刻)、ロクロ細工(盆などの器物)等、木製品が唱和の始めまで時代の流れにより隆盛をきわめたようですが、日本の高度成長期に入り、プラスティック製品の出現で一気に木制の需要が下降線をたどります。
ここ50年の間に各分野の職人も老齢化の一途で、当然のように若い後継者も育たず、現在では宮島町内では宮島彫りは私1人、ロクロ職人は二人という状態になりました。宮島を代表する杓子も今のままでは町内で出来なくなります。
伝統工芸士とはその地域の宝物です。特に宮島は「世界文化遺産」伝統工芸を絶やすのは宮島にとって大きな損失。その思いから行政の支援のもと、今一人の若者を育てていますが、後継者づくりには大変な時間と経費が掛かります。そして、窮極は出来た物が売れないといけません。その為には宮島細工の本当の良さを知ってもらい使ってもらわない限りできません。
本日は私ごときに皆様の貴重なお時間を頂戴致しましたが、十分なご説明が出来なかったと思いますが、伝統工芸の大切さを少しはお伝えできたかと思います。
少しでも関心をお持ち頂けた方が、いらっしゃいましたら是非ご一報下さればと思います。拙い話しで申し訳ございませんでした。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。 広川
-----------------------
広川氏は、1973年より宮島彫り一筋に愚直なまでの彫り物人生を送って、宮島に住む職人として、厳島神社風景や宮島に自生する草木等を愛溢れる視点から観察、描写し、作品に変える仕事を行っています。
・主な技法 : 浮かし彫り、沈め彫り、線彫りなどがあります。
宮島細工は、杓子を始めとしてロクロ細工、刳物細工、宮島彫りと幅広く、日常生活に使用される物が多く製作されています。
製品は、自然にはぐくまれた木目の色調や、手触りを十分に生かした木地仕上げが多く、使い込むほどに光沢がましてきます。
伝統工芸士たちが魂を込め、匠の技と天然木が織りなす“木の生活具”であなたの生活を、よりうるおいのある暮らしにしてくれそうです。
宮島彫りの特徴は、彫った後お茶の渋で丁寧に磨いていきます。お茶を楽しんだ後も、お茶で少しずつ染み込ませながら磨き、独特の光沢を創り上げるには数十年掛かるとも言われているようです。