卓話時間
第1659例会
2015年03月06日 (金曜日)
- タイトル :
- ゲスト卓話
「被爆70年被爆樹保護」
- 卓話者 :
- 樹木医 堀口 力氏
「原爆に耐え、生き続ける被爆樹木」
原子爆弾が投下され、75年間は草木も生えないといわれた広島で、一面焼け野が原から、黒く焼け死んだと思われた樹木が芽吹き、これらの緑は打ちひしがれた人々に生きる希望と勇気を与えてくれました。
復興のつち音と共に、庭先に緑が植えられました。草花や樹木がいきることが人が生きられる証であったと思われ希望でした。
昭和50年7月16日 広島市緑化宣言
「緑は、生命を浄化し、平和をはぐくむ。人と緑との調和ある発展は、われわれ市民の切なる願いである。
われわれの郷土は、急激な都市化により緑との調和が失われようとしている。
今こそ、われわれは、緑の尊さを知り、すべての力を終結して生きがいを託すにふさわしい緑豊かな平和都市づくりにまい進しなければならない。
その決意を新たにするとともに、これを次の世代に継承することを宣言する。」 荒木武
広島は多くの樹木が植えられ「命の輝きを取り戻しました」
街路緑化、河岸緑地、学校緑化、平和大道り、平和記念公園、ほかの都市に比べても、遜色のない緑豊かな街になりました。
新しく植える樹木には皆がもうかるので興味を示していましたが、古い樹木や被爆樹は見放されていました。
私が緑化にかかわりをもつ中で何本かの被爆樹にであいましたが、保護されているものはわずかでした。
緑化に関わっている人は、被爆樹を手間ばかりかかる、もうからない厄介な樹木としてとらえていました。
平成4年、県内で最初の樹木医になったのを機会に、被爆樹を護ることをライフワークにしたいとの強い思いがあり今日にいたっています。
被爆樹は世界史的にも貴重な樹木です。都市の中で被爆して生き続けています。
今後、百年、二百年それ以上いき続ける樹木があると思います。
広島に人類史上最初の原子爆弾が落とされ、樹木は生きていることで、原子爆弾に耐えた事実を通して、平和のメッセージを発信してくれます。
被爆樹を都市の緑の視点からみると原爆の過酷な状況にも耐え、都市の中心で生き続ける生命力旺盛な遺伝子をもつ貴重な緑資源です。
また樹木は自分に起こった歴史を体の中に刻みこみます。学術的にも貴重な資料になります。
今後とも地道に被爆樹木に関わりたいと思っています。