卓話時間
第1565例会
2012年11月26日 (月曜日)
- タイトル :
- 希望を創り出す者
- 卓話者 :
- 日本福音ルーテル大江協会 立野泰博牧師
オリーブ・パンの笛は「希望」を語る
「なぜ人は戦争をし、人殺しを繰り返すのだろう」。僕はパレスチナの風に吹かれながら思っていた。街は破壊され、僕の命は分離壁のため倒された。でも僕はヒロシマの街を知っている。原爆で破壊されたヒロシマは、平和都市として再建した。そして僕もヒロシマで再び命を与えられた。
だからヒロシマの子どもたちに語りたい。紛争の中にいる子どもたちにとって、あなたたちは「希望」だと・・・。
「パレスチナの子どもに希望を」プロジェクト
AD2000年の紛争後、イスラエルはパレスチナとの境に、高さ8メートルのコンクリート分離壁の建設(総延長703㌔)と入植を始めました。そのためパレスチナの命の木・オリーブが次々と倒されています。その現実をパレスチナに渡航した立野泰博牧師(日本福音ルーテル教会)から伝え聞きました。牧師は、倒されたオリーブを広島に運び、パンの笛に再生し復活の命を与えたいと願っていました。
パンの笛は風が吹くと音がでます。それはオリーブの木が語っていると表現されます。紛争によって倒されたオリーブの木は、人々の平和への祈りによって再生する。苦しいことや悲しい現実に出会っても、平和を願う人々の優しさ温かさによって再び命が与えられる。ヒロシマで復活したオリーブが語ることばを聞きたい。パレスチナのオリーブはここで何を語りだすだろう。そんな思いでプロジェクトが始まりました。
倒されたオリーブの木は、ミトリ・ラヘブ牧師(パレスチナ)と、ベツレヘム国際センターの方々の協力で、広島に届けられました。日本で普通の木からパンの笛を製作できる人は香原良彦氏(広島在住)しかおりません。彼によってオリーブ・パンの笛は1年半をかけてヒロシマで完成しました。あわせて、三輪真理さん(広島在住のミュージシャン)に「Peacefu Wind」を作曲していただきました。このプロジェクトに製菓会社「にしき堂」様から、資金援助と活動へ応援をいただき心より感謝しています。
現在、オリーブ・パンの笛とピアノによる「平和と希望を語る」コンサートを始めています。保育所、幼稚園、小学校、こども平和キャンプ、新老人の会(日野原重明氏代表)、文化サークル等。原爆被害だけを訴えるのでなく、廃墟の街から平和都市となったヒロシマ。そのヒロシマが「希望」だという、パレスチナの子どもたち。そのことを日本とヒロシマの子どもたちに伝えていきたいと願っています。
「絶望の中から希望をみる」。これはパレスチナに生きる子どもたちから学んだことです。ベツレヘム国際センターでは、紛争の中で生きる子どもたちの「希望と癒し」のため、音楽学校を建てる計画を立てました。中近東で初めての音楽学校がパレスチナ・ベツレヘムに建設中です。「紛争の中で生きる子どもたちに希望を」。この計画を知った私たちは、2010年5月、ヒロシマで復活したオリーブ・パンの笛と、これまで集められたピアノ購入献金(8.000US$)をパレスチナに届けました。また、現地パレスチナでコンサート、分離壁、学校、難民キャンプの街角で演奏の時を持ちました。
このCDの収益は、パレスチナ音楽学校のために捧げられます。あなたも支援者の一人になってくださると幸いです。