卓話時間
第1331例会
2007年04月23日 (月曜日)
- タイトル :
- 新会員卓話「最近の株式市場の話題について」
- 卓話者 :
- 矢吹広昭君 岡三証券広島支店 支店長
最近の株式市場が調整しているのは、主に二つの原因が考えられていると思います。
ひとつは中国経済の急激な拡大、もうひとつは米国の住宅のサブプライムローンの問題があります。
中国経済については近年、GDPが年率2ケタの伸びを示しており、このことが中国の利上げ観測につながっています。世界経済のエンジンと考えられていた中国市場が2/27に9%近く株価を下げ、エマージング市場を中心にリスクマネーの収縮が起こりました。これを受けたNY市場は416ドル安、日経平均は18,300円から16,500円へと9.7%の調整をしました。
ただ、中国の外国人に対する投資規制は厳しく、流通株の時価総額に対するGDP比率も小さいので、中国の株価下落が世界同時株安につながったとは考えにくいと思います。中国の元はゆるやかに元高になっていますが、株式市場を外資に開放すると中国の実体経済を反映する形で、大量の資本が市場に流入し急激な元高になることは、中国はもとより、中国の外貨準備が1兆ドルを越えていることから米国も望んでいないと考えます。
米国のサブプライムローン問題については住宅ローン10兆ドルのうち12.8%がサブプライムローンであり、その内容は、2/28と言われるローンで当初2年が固定、残り20年が変動というタイプであり、米国の利上げにより、2005年以前に契約したローンの返済が大きくなり結果として返済の延滞につながっています。
現状のサブプライムの延滞率は12.5%であり、深刻なものは約7%と推測されます。仮にすべてが貸し倒れになっても、住宅ローンに占める割合は1%未満(10兆×12.8%×7%)であり、影響度は少ないと考えます。
前述の2点を踏まえた上で、日本の株式市場を考えると値幅整理は終了し、日柄の問題になっていると思います。
日本の個人金融資産1500兆のうち、51%が現預金で(770兆円)、その資金が、「貯蓄から投資へ」の政府の掛け声とともに、株式、債券、投信等の有価証券へ移行し、日本版のビックシフトが起こると考えるからです。