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第1238例会

2005年03月07日 (月曜日)

タイトル :
2004年から2005年へ向けての消費トレンド
「自信動力」消費
卓話者 :
株式会社中国博報堂 マーケティング部 北野尚人氏

 本日の卓話は、2004年から2005年へ向けての消費トレンドということで、「自信」を原動力とした消費「自信動力消費」のお話をしたいと思います。
 昨年から回復の兆しを見せ始めた日本経済は、今年も好調傾向が続き多くのヒット商品が誕生しました。このヒット商品を、社会経済動向や弊社が独自に実施した生活者調査から分析すると、バブル崩壊以降後ろ向きな発想に支配されていた日本全体に、ようやく活気が甦り、前向きに新たな一歩を踏み出した企業や生活者の姿が浮かび上がりました。
 こうしたV字回復の起点となりうる昨年の消費傾向を「自信動力」消費と名づけました。
 企業は、業績の回復を背景に、守りの姿勢から独自の強みに対する「自信」を回復し、攻勢に転じました。一方、生活者は、企業の自信回復に加えて、「世界レベルの日本人の活躍」から力を得て、不安が支配的だった気分から「自信」を取り戻すきっかけを掴みました。この「自信&#57419;原動力」に、日本の元気を体現するような商品が次々と提供され、生活者に支持されることで市場が活気づいた2004年だったと言えそうです。
 この「自信動力」消費は、ヒット商品の事例から以下の6つの動力の傾向に分かれます。
 キーワード?は「日本の匠」動力です。日本ならではの最先端技術をストレートに表現した次世代型商品がヒットいたしました。2004年は、アテネオリンピックという最大級の商機を得て、「新・三種の神器」の「薄型大画面テレビ」や「DVD/HDDレコーダー」「デジタル一眼レフカメラ」等のデジタル家電が活気づきました。白モノ家電の世界でも、「ななめドラム式洗濯機」など、従来の常識を覆すアイデアの商品がヒットしました。
 キーワード?は「老舗」動力です。古くからの強いブランド力を独自の手法で活用した商品が注目を浴びました。自動車各社の「高級セダンブランドのモデルチェンジ」や「完全リニューアルした超ロングセラー食品ブランド」など、大型ブランドの大規模なリニューアルが目立つ年でした。また、「人気ドラマをテーマにした即席麺」「老舗と共同開発した飲料」など、いわゆるコラボレーション型の新商品開発もさかんに行われました。
 キーワード?は「エルダー」動力です。ゆとりあるエルダー層に支持された贅沢な高価格商品が話題になりました。一億円以上の「タワーマンション」や数百万から数千万という「リッチな海外旅行」など、バブル再来を思わせるような超高額商品が話題になりました。また、「チルドタイププレミアムビール」など、趣味性の高い商品も人気を集めました。
 キーワード?は「脱・欧米」動力です。欧米的価値観から脱却し、日本的価値観を再認識させるような現象や商品がヒットしました。豆乳やにがり、黒酢など「日本固有の食材」が注目されたり、「アジアをコンセプトにしたヘアケア商品」のように、茶髪に慣れた日本人に黒髪の美しさを再認識させる商品もヒットしました。「ハルウララ」現象や「負け犬の遠吠え」などは、日本的判官びいきによるヒットという見方もできるかもしれません。
 キーワード?は「琴線」動力です。喜怒哀楽を楽しむ気持ちの余裕が生んだ、心の琴線にふれるコンテンツを生活者は求め、ブームとなりました。「冬ソナ」や「セカチュー」が流行語になるほどの話題をさらい、お笑いの世界でも、ユニークな「ピン芸人」が続々誕生し、久々のお笑いブームを巻き起こしました。
 キーワード?は「ハレ」動力です。盛り上がり願望が生んだブーム現象が日本中で見られました。「アテネオリンピック」が象徴するように、国民全体でハレを楽しむ気分が復活した年でした。「マツケンサンバ」の流行は、まさにお祭り気分の発散であり、「ハッスル!ハッスル!」は日本人に熱い活力を注入しました。記録的な猛暑となった夏には、若者を中心に浴衣や携帯蚊取り器などの「花火グッズ」が人気になりました。
 次に、データ上から、今までお話してきた状況を検証してみたいと思います。昨年11月に首都圏と関西圏で弊社が行ったインターネット調査の結果をご報告いたします。
 まず、経済や消費環境の回復感が増し、将来への不安感が緩和された傾向が見られます。「昨年に比べて、経済や消費に明るい兆しが見え出した」という人が、一昨年の19.8%から昨年は28.2%へと増加しています。また、「将来への不安感が昨年に比べて増えた」という人が、一昨年の50.5%から昨年は42.8%へと減少しています。
 第二には、「価格」に束縛される意識が弱まった傾向があります。実際のヒット商品を見ても、低価格商品に比べて、高価格を特徴とした商品のほうが多かったことに加え、「昨年に比べて、価格をあまり気にしなくなった」という人が、一昨年の13.5%から昨年は17.8%へと増加しています。また、「昨年に比べて、高額品を買うことに抵抗感が少なくなった」という人が、一昨年の19.3%から昨年は24.7%へと増加しています。 
 第三には、ヒットしたと思える商品や購入意欲をそそる商品が多かったことです。実際のヒット商品を見ても、大型のヒット商品や、国民的ブームともいえる現象が多かったといえます。「今年流行ったと思う商品・サービスが、例年に比べて多かった」という人が一昨年の27.8%から昨年は36.9%へと増加しています。また、「昨年に比べて、欲しいと思う商品・サービスが増えた」いう人が一昨年の27.3%から昨年は35.2%へと増加しています。
 最後にまとめですが、以上のように、2004年から2005年へ向けては、企業と生活者の自信に裏打ちされた、確実な消費マインドの回復傾向が見られるといえます。
 ご清聴ありがとうございました。

Posted by 事務局 at 12時30分

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