卓話時間

第1747例会
2017年04月17日 (月曜日) 12:30
広島原爆障害対策協議会 平松恵一会長(RC会員)
同協議会健康管理・増進センター 藤原佐枝子所長(RC会員)
広島市医師会臨床検査センター  谷敷圭美センター長
第1746例会
2017年04月10日 (月曜日) 12:30
アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
第1745例会
2017年04月03日 (月曜日) 12:30
脚本家 鴨 義信氏

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第1516例会

2011年10月17日 (月曜日)

タイトル :
クラブフォーラム「将来を担う子ども達の教育」
卓話者 :
比治山大学教授 石井真治氏

比治山大学教授 石井真治氏 

 まず、最初に自己紹介でございますが、私は、大学院で、三十何年前に、アメリカで日本人のいないところで5年間ほど過ごしました。その後は、ずっと大学大学院で教鞭を執りまして、その後、ユネスコでアジアの教育というところでやっておりまして、その後、付属の中学の校長とか、広島の国際教育センターで、発展途上国、特にアフリカの教育の支援というところで、私自身も年に3分の1くらいアフリカの各国を周ってきたということで、非常に勉強になりました。その後、広島大学、比治山大学に移ってきております。
現在広島市がやっております教育革新プランについて、少しご説明させていただきまして、色々とご支援をいただきたいと思います。
 現在、我が国の教育は、等質な教育を与えるために中央教育審議会というところがありまして、どういうような人間像を育てていくか、どのような人間像が必要か、というところで決めております。現在のところは、「生きる力」を育てる教育を全国で等質にやっていこう。ちなみに、経済の発展が激しかったころ、基礎的な知識・技術を修得した人材を育てようと、日本の経済の発展に非常に貢献してきたわけでありますけれども、その後、高校生のドロップアウトであるとか、それから非行とかといったところが生じてきまして、ほころび始めまして、時代にそぐうような教育方針で人間を育てていこうというところです。具体的には、変化の激しいこれからの社会を生きる力というところで、技術とか知識とかといったよりは、むしろ21世紀型の、役に立つ、柔軟に時代の変化に耐え得るような力を付けてゆこうというところが、現在の日本のやっている教育方針でございます。
 ところが、そういった中で、現在の青少年がどのように育ってきたのか、どうしたところで問題があるのか、というところが皆様方の関心があるところです。世間でよく言われているところが、「学力低下」というところでございます。これは、PISA、OECDがやっております学習到達速度調査で、これは、15歳の世界の子供たちに対し、読解力、数学、リテラシーといったテストをやりまして、どのくらい人材が育っていているかを確かめるものです。我々が学力低下したと言っておりますのは、例えば、数学で、2000年、日本は第1位でした。ところが、2007年になりますと10位に下がってくる。理科につきましては、2000年には2位だったものが、2007年には7位。読解力に関しましては、2000年には8位であったものが、2008年には15位。ゆとりの時間でありますとか、全国学習テストとかで、騒がしてきたところであります。未だに、本当に、日本の子供たちの学力が低下したかは、論議が進んでいるところでございます。
私たちどもが心配しておりますのは、「学習意欲の低下」というところです。学力というのはスコアで出ていますが、学習意欲の低下につきましては、PISAのテストでは、努力値、どのくらい一生懸命にそのテストに取り組みましたかという値が出てくるわけですけれども、残念ながら、46か国中で最低です。非常に意欲が少ないということで、私どもは非常に気にしているところでございます。
コミュニケーション能力がない、あるいは、いじめ、不登校、校内暴力、非行の増加、さらには、学級崩壊といったところで、小学校1年生の子が教室中を動き回っているなどというところが世間を騒がしているところでございます。
 もうひとつ心配な点は、「体力の低下」でございます。1955年から現在まで、体力はどんどんと下がり始めまして、止まっておりません。それに対しまして、体格ですね、身長では、親が11歳のころは142センチだったのに対して、今の11歳の子供たちは145センチです。4センチくらい平均が大きくなっている。当然、体重も大きくなっている。それに対しまして、いわゆる体力ですね、ソフトボール投げでありますとかは、5メートルくらいも下がっていますし、不器用になっていますし、持続力がない、というところで、非常に危惧しているところです。
 それから、「有能感」、「自己効力感」の低下です。「有能感」というのは、自分には優れているよ、というような感覚、あるいは、「自己効力感」というのは、なんか与えられたらそれに向かってやるだけの能力はあるよ、といった感覚でありますけれども、どんどん下がってきている。例を言いますと、勉強ができる子、人気がある子、正直な子、親切な子、よく働く子、スポーツのうまい子ということで、東京と中国、アメリカで同じ質問をしますと、一番下が日本です。それに対しまして、例えば、米国は、おれ勉強できるんだよ、だいたい3倍くらいの割合です。昔は、僕は勉強が駄目だけども、汽車や駅を覚えるのが得意だよ、人の世話をするのが得意だよ、といったところがありましたけれども、非常に下がってきている。さらに恐ろしいことは、5年ごとに同じ質問をしていますが、どんどんと下がり始めているところに、学力のスコアという以上に、これからを担う子供たちが直面している問題だろうと、私たちは危惧しているところです。
新しい「日本病」、「日本病」というのは、決していいことではなくて、何もしない、消極的である、自分の考えをもっていない、ということです。
 平成13年に、これからの広島市の教育方針を決めるというところで、私どもが中心になりまして、21世紀教育改革課を創りまして、それに基づいて、毎年施策が行われているわけであります。具体例で申しますと、日本で一番最初に取り組んだ小人数学級でありますとか、英語の時間を小学校で入れるというのも国がするよりも2年ほど先にやってきたというようなものです。
 「広島教育改革プラン」ですが、ひとつは、体力を付けないと何もできないから、「体力」をまずつけるような教育をやろうということです。さらに、「規範」ですね。自分でコントロールして、正義のために頑張れるような、そうしたような人間を創ろう。さらには、「多元価値の受容」というところで、これからは、日本の家族が外国に行って、肌の色、言葉の違った人たちとも生活してゆかなければならない、さらには、反対に、違った肌の色、違った言葉の人が来てともに暮らしてゆかねばならないとなったときには、それぞれ、相手を尊重すると同時に、自分の考えは十分に主張できる。現在のところ言われておりますのは、日本の青年たちは、非常に気持ち悪い、うすら笑いを浮かべていると言われているところです。うすら笑いというのは、ひとつは考えがないということもあろうかと思いますが、英語ができない、ところでございまして、私自身が非常に経験をいたしました。何を言えばよいのか分かるんですが、言いたいことが言えない、言えないので黙っていると、競争社会においては、黙っていると馬鹿ですから、考えがないということです。そうした劣等感を持たない、アレルギーをもたない子供を広島で育てたいというのが、このときの考え方でございました。
 自分のよさを大切にするとともに、他人の違い、文化とか、国とか、民族とか、個人とか、性とか、年齢とか、障害とかといった違いを認めていくというところで、そうした感覚を身に付けさせたいということございます。ちなみに、このときは、我々委員の間では、英語の力というのは低年齢ほどいい、というとことで、小学校2年から始めようというところで答申を出した訳ですが、いつの間にか5年ということになって、それが良かったのかどうか判りませんが、まだ結果が出ていませんので。これが、シンガポールであるとか、香港ですね、PISAでも上位に入っていますけども、非常素晴らしいですね。自信に満ちた行動ができている。8月6日、中国とか、ドイツとか、イタリアとか、当然のように日本の学生も出ましたけども、やはり日本の学生の方が物おじをするといったようなところで、果たして、このような教育は、今後、どうしていけばいいのか、自信を持っていかせるのはどうしてやっていけばよいのか、というところです。
 授業時間の確保のために、広島市は、3学期制から2学期制にし、小人数制も全国に先駆けてしました。現在、我々が鋭意力を入れているところは、広島型カリキュラムでして、21世紀型教育学力プランと言われておりまして、ひとつは、小学校に英語を入れる、全国よりもはるかに多い時間ですけども、70時間とする。それから、例えば、パーキング場に入るときには、どこのパーキングが一番いいか、30分200円と1時間100円と、どちらに入るだろうかといったような、学校で学んだ計算が、実用の中で活きる、そのような力を付けさせたい。
 それから、やはり高等教育の方々も、我々の初等中等教育に如何に貢献していただくか、自分の事柄は自分でやっていく、ということが大切であろうということで、広島大学の方と正式に研究テーマを結んで、むしろ、いじめ不登校が起こったらどうするか、といったことから、いじめ不登校が起こらない生徒を創るのはどうしたらよいか、現在やっておりますし、現在は、現職教員の力が少ないということで、広島市の現職教員のためのフォーラムをしています。
 その結果、確かに、学力の方は、このプランが上がりましてから、それまでずっと県より低かったのが、昨年初めて、県よりは少し上がりましたし、体力も、初めて、持続力を除いて、県より少し良くなりましたし、高等教育との共同歩調でモデルを開発することにつきましては、不登校生徒の減ということで、全国からこのモデルについての問い合わせが来ているところでございます。それから、学校体験、職場体験、これにつきましては、文部科学省の審議委員とともに、広島市の教育委員会の方から出て行って、ガイドラインのモデルになるというところで、かなりの成果を上げています。
 一見、良くなってきたように見えますが、全国よりは良くなったと思いますが、それでも、ある側面におきましては、例えば、福井方式であるとか、秋田県方式であるとかを標榜しているところもありますが、私たちはそうしたようなところよりも、全人格的な、これからの生きてゆく子供たちを育てていきましょう、というところであります。
 一番の問題は、「自己効力感」のところでありますが、自分はできる力がある、といったような力がどのくらい育ってきたのだろうかというところでありまして、毎年、全国学力調査と同様に、そうしたところを測っておりますが、確かに、自己効力感が高い人は成績も良いのですが、一方では、自己効力感が下がっている子も未だに広島市の小中校生におりまして、色々な方策で、いわゆる基礎学力を育てるよりは、まずは自己効力感を育てる方策で、3つの中学校では時間を割いておりますけれども、なかなか成果が出ていないという報告を受けています。達成経験、代理経験、自分もできる、そうしたところに新しい教育方法も考えてゆかねばならない、というところに直面しているところでございます。
 学力でありますが、これからの学力というのは、知識は、知恵を付けるという位置づけでは駄目で、現実の生活の中で役立つような学力の側面にあります。さらには、持続可能、ずっと学習あるいはトレーニングを続けていけるような能力ということがこれからも必要であろう。広島型カリキュラム、全国に先駆けて入れましたので、知識につきましては効果が出ると思いますが、持続可能でありますね、何のために、自分たちは勉強してゆかなければならないのか、学習しなければならないのか、頼りないモデルでありますので、今後、そのようなモデルを開発する必要があるのではないかと考えています。
 それから、豊かな心でございますが、広島大学との共同でテキストを作るとか、問題行動を起こさない子供を創るといったもくろみでやってきまして、不登校につきましては、非常に劇的に、このモデルを入れた学校では減ったわけでございますけども、ただこのモデルを入れた学校におきましても、暴力、対教師暴力、対友人暴力ですが、予想に反して効果がなかったといったことがありますので、今後の課題であろうと思います。
それから、日本病でありますけども、いわゆる積極性がない、何事にも無関心であるとか、チャレンジ精神がない、そういったものを、日本病と名付けています。昔、英国病というのが世間を席巻しましたけれども、いったん得た既得権は絶対に離さない、努力をしないで権利、権利と主張するので、それぞれの企業が衰退していきましたが、サッチャーの強力な指導によりまして、英国は立ち直ったということであります。今現在、こうした日本病につきましては、いわゆる品格教育、藤原正明さんが言ったような品格ではなく、もう少し、品位のある、人から尊敬される人格を創ることで、こうしたことから脱却できる。東広島でも、2、3の学校でやっておりますが、広島でも希望する学校でやっておりますが、まだ結果が出ておりませんけれども、品格教育ということで検討する必要があります。
 最後になりますけども、これは、私の個人的な経験から出てきたことでありますけども、4年間、国際教育研究でアフリカ・アジア等を見ておりますと、日本人は非常に尊敬される。これは、金をばらまく、経済発展をしたからだけではなくて、あるいは、技術発展をしたからだけではなく、あるいは、お茶に代表される文化だけでなくて、日本人は非常に勤勉である。ちょうど、武士道もいっておりますように、敬意、礼を知っている、誠意があるといった品格について、尊敬の念を抱いている方々が多かったという自分の経験から、教育勅語とまではいいませんけれども、皆様方もボランティアで、社会のためにやっていらっしゃるノブレス・オブリージュ、もともとは騎士道から出てきた人格なんですけども、そうした社会に対する貢献、人のために貢献する喜び。昔の方々の勤勉性を、教育でもやっていかなければいけないのではないかと思っています。皆様方が、社会のリーダーとして教えるということです。
 そのためには、優秀な教員とか、世界から尊敬されるリーダーを創るような教育機関を広島には設けたい。つまり、日本文化を良く理解し、自分の考えがしっかりし、コミュニケーション能力ですね、今までは、英語と母国語だけ言われていましたけれども、人とコミュニケーションできるような喜びが感じられるような中等学校を是非とも広島に創りたいたいと考えています。
私は、依然として、日本の力、このたびの東日本でも代表されるような日本の力、あるいは、日本人の力を信じております。これからも、広島の教育のために、ご支援いただきたいと考えております。
ご清聴、ありがとうございました。

Posted by IT at 12時30分

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