卓話時間

第1747例会
2017年04月17日 (月曜日) 12:30
広島原爆障害対策協議会 平松恵一会長(RC会員)
同協議会健康管理・増進センター 藤原佐枝子所長(RC会員)
広島市医師会臨床検査センター  谷敷圭美センター長
第1746例会
2017年04月10日 (月曜日) 12:30
アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
第1745例会
2017年04月03日 (月曜日) 12:30
脚本家 鴨 義信氏

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第1412例会

2009年04月13日 (月曜日)

タイトル :
ゲスト卓話
「男心と女心はなぜこうもすれ違うのか」
卓話者 :
(株)感性リサーチ代表取締役社長
 日本感性工学会評議員
 黒川伊保子 氏

黒川伊保子 氏

紹介を頂きました黒川伊保子です。
私は、元は人工知能のエンジニアです。
脳科学という言葉を使いますが、私共人工知能の研究者は脳を生理的器官としてでなく、装置として見るというものの見方をします。脳が装置としてどう機能をするのか、そしてそれをロボットの脳としてプロセッサー上に表現するにはどうしたらいいかを、変わった角度から研究しています。
 大学を卒業したのは1983年で、21世紀が15年ほど先、世界に先立ててロボットの頭脳部を作ろうと、当時の通産省が1000億を掛けましてこの開発を始めました。縁がありその国の研究所に入り人工知能の研究をはじめました。私の研究テーマはロボットと人の対話でした。当時2010年代に入ると介護のシーンで自立型自動走行ロボットが登場すると予想されていました。2010年当時ははるか未来と思っていましたがもうすぐやって参ります。
 自立型で、人と人の間を縫うように動くこのロボット達は人の言葉を理解してもらわないといけない。
介護のシーンで、どんなに軽く作っても200キロ以上の巨体になります。この巨体が黙って近づくと怖いのです。このロボットはまず、その方の聞き手の逆側に緩やかに声を掛けて近づきます。因みに私たち人間が無意識にやっていることです。ロボットに感性を搭載するための研究とは、人が無意識に感じている快・不快、たとえば、知らない人に近づくとき、不快な感じをあたえないような人間の行動と脳の機能性を研究していくわけです。
 ロボットの研究で、最初に気がついたのは、男と女では気持ちいいと思う言葉の種類が違うということ、それと1時間ほど会話をしたときの満ち足りたなあと思う、会話の道のりが大きく違うということです。
当時は今のように女性と男性は、脳の構造が違うということをあまりテレビなどで語られていないころでした。思い起こしていただけるでしょうか1970年代半ばこの国ではウーマンリブの嵐が吹き荒れました。中P連というのを覚えていらっしゃいますか、ピンクのヘルメットをかぶって女性の権利を訴えたころ、男と女は違うとか、妻は夫を立てるとか言ったら、非国民のように扱われました。私がこの研究を始めたころは、男と女の脳は違うと言ったら、フェミニストの先生からしかられました。それから70年近くたち、やっと男と女は違うといってもいいような時代にやっと戻ってきたなと思っています。
 当時、人工知能の研究は20人の研究部隊で女性は私一人でした。のこり19人は男性で、しかもハッキリ言って甘いことも言ってくれるわけではなく、主人もコンピューターのエンジニアでして、妻の話も殆ど聞いてくれない訳で、こんな研究者が作った介護ロボットにお世話になるのは結局私ですから、そうなったとき寂しいなと、やっぱり男女の脳の違いをしっかり研究をしようと奮起し、男女の研究を25年前から始めました。
 そんな研究をしていて、ある日ふと気がつきました。ロボットと人の研究だったのですが、1991年息子が生まれ、高校3年の息子と結婚24年の夫とくらしていますと、ロボットと人間の会話の前に、生身の妻と夫、母と息子とちゃんと会話しているかが問題でした。私の研究室の研究成果をロボットに搭載する前にます人間学として外に出したほうがいいのではないかと思ったのです。たとえば、マーケティングの現場使っていただく。50代の女性向けの商品の開発をするとき、本来なら、50代の女性が気持ちの良い名まえをつけるべきです。ところが30代40代の男性が名前を決めると気持ちいい名前の商品がでてこないわけです。そんなことをコンサルタント現場で目撃をしていましたので、脳の感性の違いを明らかにした科学をマーケティングに使ってみたらどうかと。今では、商品開発、市場開発も私の重要な仕事の一つになっています。
 男女の脳が装置として、どう違っているのかお話ししてみたいと思います。
これまでの人生の中で、奥様や女性からこんなことを言って詰られたことはありませんか。「貴男、私と仕事とどっちが大事なんですか?」○○と私と言うのは、先進国では必ずある話だそうです。
女性は、応えようのない質問をするんです。例えば「貴男どうして約束を守らなかったんですか?」「忘れてしまったんだ」「どうして忘れたんですか?」どうこたえていいのか分からないじゃないですか。
皆さんは、こんな質問をどうやって切り抜けられてきたのでしょうか。こんな答えようのない質問にいちいち答えをすることはないのです。こんな質問に対してこの世に正解はたった一つだけ、どんな質問にも「あー、君を傷つけているんだね、申し訳ない」といいます。
どっち? どうして?と どう聞かれようと、とにかく謝ればいいということです。
女性が答えようのない質問をするときは、傷ついているのです。男性から見たら、傷つけた覚えもないのに、勝手に傷ついているということもあるでしょう。
でも、脳の立場から言うと、事実があったかどうかということは問題じゃないんです。さて、正解で切り抜けてこられた方は何人いらっしゃるでしょうか。
なぜ、女性は恨むのかという話から入ろうと思います。女性と男性の劇的な脳の違いは、右脳と左脳をつなぐ長い神経性の束=脳梁(のうりょう)の太さの違いです。私たちの脳は、右半球と左半球にわかれています。俗に言う右脳と左脳ですね。右脳は感じる領域、左脳は顕在意識と直結して言葉や数値を扱う領域です。
 右脳と左脳をつないでいる脳梁という場所があります。女性はこの場所が平均で約20%太いと言われています。すなわち、感じたことがすぐ言葉になるという特徴があります。0.6~0.7秒と言われています。だから、たとえば、口に入れたものが美味しいと、飲み下す前にいかに美味しいか喋り出すのです。
 美味しい料理を食べると、口に入れた瞬間にしゃべり出します。全員が一斉に喋りだすのが女性です。生まれつき思ったことを口に出したいという欲求が女性脳にはあるのです。
もう一つあります。お互いに同じことを感じていると安心する。
この二つの機能が女性にはプログラムされています。
だからしゃべるんです。そして共感し合うのです。
これれは、子育てをするのに神様から授かった能力です。一生のうちに生み出す個体数の少ない人間のメス=女性は最初の子育てから失敗するわけに行かないので、群れを作るコミュニティーを作る能力が高いんです。感じたことを話すと初めての場所ですぐに友達になれます。同じ事を感じていると嬉しいというのは群れからかけ離れたことをしないための脳の力です。
感性のゼロ点調整をしているのです。語り合い同じ事をして群れから離れないことで安心することです。
つまりね、女性の無駄話はちゃんと理由があるのです。脳という装置は決して無駄なことをしません。奥様が回覧板を持ってきた隣の奥さんと無駄話をしているとお思いになるかも知れませんが、そのおかげでコミュニティーの結束を強くしこれから立ち向かう介護の予備知識を手に入れようとしているわけです。誰のための介護でしょう?(笑)
 さて、このように女性脳は、感じたことが即言葉となって脳裏に浮かぶ、神経系のネットワークに負荷がキープされる訳ですからこれを気持ちよく口から出すとストレスがたまらない。
 女性は心理学者に言わせると、1日20,000語喋るといい、女性心理学者は6,000語と言っています。
これだけの言葉を口から出すと女性は安らかに眠れる訳です。したがいまして女性の会話の第一目的は情報伝達ではないのです。
 世界中の奥様がぺらぺら喋り、ご主人は頭の痛い思いをしながら、奥様の脳のストレスが解消して行くとわけですが、これに気がついてからは、私自身は女友達に話をするようにするのですが、多くの男性たちはどんどん沸いてくる女性たちのダイナミックな言葉に悩まされるようです。
 男性は実は言葉を生み出すときは、女性のようにそのまま即喋るのではなく、右脳のイメージ処理の領域でイメージのまま無意識のうちに処理してから言葉にするのですね。
 このため、男性は結論から簡潔に言葉を生み出しますが、言葉を生み出すときのタイムラグが女性から見るとぼんやりしているように見えるのです。
 ものの見方の話をします。右脳と左脳の連携が良いか悪いかで実はものの見方も違います。男性は右脳と左脳の連携が悪いおかげで、右目で見た像と左目で見た像が混ざりにくいんです。このため、距離感覚が鋭く、生まれつき奥行き認識が女性より鮮明で得意で、楽しがる脳なんです。
 ハイハイするころから男の子は約3m上からの鳥観を持っていると言われます。大人の男性は上空10m、50mを持っている。荒野を旅する鳥観をもっています。持てる女性もまれにいますが少ない訳でバックしながら車庫の距離感がとれないとか道に迷ったりするのはそういうことがあるからです。
 男性は、まばらに見ながら、一気に空間を把握することが出来るわけです。まばらに見ているので目の前にあるものに気がつかない。女性は実は奥行き認識に興味を示さないので、目の前のものをなめるように見ます。
 女性から見ると目の前にあるのに俺の眼鏡は?と言うのです。
 マーケティングにも利用されます。デパートの陳列などはこの特性に合わせ、女性には目の前に、男性にはまばらに置かないと目に入っていただけないのです。
 こんなそんなですから、夫婦は同じものを見ていないんですね。だから、奥様が「さっくのあれだけど」なんて言っても通じない。旅先で「あなた、さっきの赤いやつだけど、孫たちへのお土産にどうかしら?」なんて言っても、「さっきの赤いやつとはなんだ」なんて聞き返されたりして興を削がれるわけですが、これはしかたないんです。「さっきのあれ」を夫が見ている確率はかなり低いからです。でも、女が「あれ」「それ」を多用するようになるのは、相手との一体感が増しているからです。
 したがいまして、「あれ」と言ったら愛しされている証拠です。
 もし、「赤いやつ」と言われたら「見たような気がする」そして、「気になるならもどろうか」と云ってください。そんなこと言えるかと思った方も、リスクヘッジのようなものですから、今後何週間も円満に過ごす保険と思って、ぜひやってみてください。どうぞますます円満にお過ごしください。

Posted by 事務局 at 12時30分

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