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2017年04月17日 (月曜日) 12:30
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第1746例会
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アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
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2017年04月03日 (月曜日) 12:30
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第1346例会

2007年08月27日 (月曜日)

タイトル :
「がん月間に因んで」
卓話者 :
田原榮一君

がん予防について話す田原榮一君

「がん月間に因んで」
 来月の9月は、がん征圧月間であります。そこで、今日は、我が国の今後のがん医療対策と広島地域のがん医療の現状について述べさせて頂きたいと思います。
 其の前に、仏教の言葉に、「生・老・病・死」という言葉が有ります。この4つの自然現象に直接に関与する職業は医師でありますが、同時に、病気の中で、「生・老・病・死」の4つの全てに関係するものはがんであります。何故なら、細胞の誕生、老化、正常細胞の遺伝子異常によって起きる病気、即ちがん、そして細胞の死、この4つの生命現象をコントロールしているものは、実はがんと関係する遺伝子群なのであります。
 がんは、1981年以来我が国の死因の第一位を占め、2006年には、32万人ががんで死亡、総死亡の31%、3人に一人ががんで死亡されています。そこで、日本政府はがん対策として1984年から、がんの本態解明や診断・治療の向上に向けて、「第一次対がん10カ年総合戦略」をスタートさせ、現在「第三次対がん10カ年総合戦略」が行なわれております。私は、第一次から第三次の対がん総合戦略の昨年まで、22年間、研究班の班長として、胃がんはどの様にして出来てくるのか、そして、その予防、診断・治療の向上に取り組んで参りました。 
 これまでのがん総合戦略研究成果により、「がんは遺伝子の異常によっておこる病気であり、しかも長い自然史を持っている(15年から-20年)」こと、更に「がんには個性か有り、しかも、同じがんでも患者によってその個性が異なる」こと等が明らかにされました。そして、がんは生活習慣病の一つであり、がんはイコール死ではなく、がんを予防できる様になりました。即ち、がんの原因は、喫煙が30%、食べ物が30%占めます。そして、禁煙により、がんの30から50%減らすことかできます。その上、最近のイギリスの統計学的調査では、禁煙することにより、平均寿命が各年齢層で10年延長する事が示されています。更に、最近の動物実験において、タバコを吸わせた雄マウスの精子には遺伝子変異が起き、その遺伝子変異は子供に受け継がれるとのショキングな報告があります。
 
 一方、がんの一次予防、即ちがんに罹からないライフスタイルの改善、二次予防、即ち、がんで死亡しないための早期発現すなわち検診、そして、がんの再発・転移を防ぐ三次予防等の事業が全国的に推進されてきました。しかし、我が国では、高齢者の増加により、がん死亡率は減少せず、右上がりに毎年一万人増加しつづけており、男性では2人に一人ががんで死亡する時代も近いと予想されています。
 そこで、昨年6月国会で成立した「がん対策基本法」が、本年4月から施行されました。将に21世紀の新たながん医療の時代がスタートしたのであります。この「がん対策基本法」は、3つの基本理念から成ります。その第一は、がん研究の更なる推進とともに、がんの予防・診断・治療等に係わる技術の向上であります。特に、がん専門医・医療従事者の育成であります。第二は、がん医療の地域格差を無くすこと、即ち何処でも何時でも同じがん医療が受けられる「がん医療水準均てん化」対策であり、その一つとして、全国各都道府県にがん拠点病院が整備され、広島県にも、10カ所のがん拠点病院(広島市内では、大学病院、市民病院、県病院、日赤病院等)が昨年決定されました。第三は、がん患者・国民に対して、がん医療、特に治療に関して充分な情報の提供であります。その中心として、国立がんセンターに「がん対策情報センター」が、設立されました。
 ここで、皆様に申し上げたい事があります。それは、今度の我が国のがん医療改革はがん患者・家族からの声を受けて、政府が実施したという事であります。即ち、「変えよう日本のがん医療、手をつなごう患者と家族」というテーマを掲げて、がん患者大集会が、第1回を一昨年大阪で、第2回を昨年東京で、それぞれ開催され、其の時の大会アピールを受けて、政府は本年4月から「がん対策基本法」が施行したのであります。将に、がん患者大集会は、我が国のがん医療改革のDriving forceと云つても過言ではありません。
 第三回がん患者大集会は、「心の通い合うがん医療―私たちはもう痛みを我慢しない」というテーマで、昨日広島国際会議場で開催されました。私の名誉大会長としての挨拶後、柳沢厚生労働大臣にもご挨拶を頂き、2,000名を超す参加者がり、大成功裡に終了しました。今度の大会は、緩和ケアーの充実とその専門医の養成に向けて、大きなエネルギーを生み出したと思います。今度の大会に対して、我がクラブの会員・家族の方々のご支援・恊力・参加を頂き誠に有り難うございました。此の席を借りて厚く御礼を申し上げます。
 
 翻って、広島県のがん医療対策の歴史を見てみますと、平成4年、財団法人広島がんセミナーが設立されました。この広島がんセミナーは、広島からがんに関する最新情報を発信するために、広島の財界、広島大学、広島県医師会・市医師会等の支援により設立された公益法人であります。今日まで、毎年国際シンポジュウムと県民公開講座を開催するとともに、がん予防の推進や若い研究者への助成等様々な事業を行ってまいりました。
 また、財団設立の翌年、平成5年7月、私は、中国新聞の中国論壇に「広島がんセンター構想」を提言しました。その年の11月、藤田氏は、がんセンターの増築の公約を掲げて当選されたことが、皆様がよくご存じの如くであります。翌年の平成6年には、広島がんセミナーは、松井理事長、柚崎副理事長、田原専務理事の三名連記で、広島市にたいして「広島国際がんセンター」設立に関する陳情書を提出しました。翌年の平成7年、広島県は、がんセンターを含む高度専門医療施設に関する様々委員会を発足させ、私も委員あるいは顧問として4年間かけて、広島がんセンター構想の実現に向けて努力してまいりました。しかしながら、平成12年、藤田知事はがんセンター構想を白紙化されたされたことは、誠に痛恨の極みであり、現在憤りさえ感じます。
 過去10年、広島がんセンターを含む数々の構想と計画があるにも拘らず、実行に移さない県政は、今日停滞感と閉塞感を広げて居ります。その結果、現在、広島にはがんセンターはなく、多くのがん患者・家族は、どこに行けば良いがん医療が受けら得るのか大変悩んでおられ、所謂がん難民という言葉さえ生まれています。そして、広島県は他の県に比べて、がん死亡率が極めて高いのであります。これらは、これまでに、広島県において充分ながん医療対策が行われてこなかつた結果と思います。もし、広島がんセンター構想が実現しておれば、がん相談窓口、高いレベルの診断・治療、特に放射線治療等を含む現在抱えている多くの問題は解決しており、がん対策はより充実していたと云っても過言ではありません。今後は、先ほど申し上げた10カ所のがん拠点病院がお互いに連携し合い、より良いがん医療が実銭され、がん死亡率が減少することを心から期待するものであります。しかし、それには、各病院の一層の機能強化とがん専門医の育成が急務でありましょう。何故なら、今問題となっている産婦人科医や小児科医の数に比べて、がん専門医は、広島地域には極めて少ないのであります。特に、がん薬物療法専門医は広島県に3名しかおりません。しかも、様々な不安や悩みを抱えているがん患者に対して、中立に適切な相談に応じるがん患者相談センターもありません。昨年、広島県から私どもの広島がんセンターにがん患者相談センターの設立の依頼がありましたが、誠に残念乍ら、財政の問題からお断りしました。
 もう一つ重要なことは、「がん対策推進基本計画」のもう一つ柱、「10年以内に75歳未満のがん死亡率を20%減らすこと」いう目標が示されました。しかし、私は、この目標を建成することは、広島県では、極めで難しいのではないかと思っています。広島県にも昨年「がん対策推進協議会」が発足しましたが、先ほど申し上げた如く、広島県の医療レベルは低いのみならず、広島県民のがん検診率が16.5%と著しく低く、全国平均を下回っております。今後、如何にがん検診率を上げるか、そして如何にがん医療レベルを上げるかが大きな課題でありましょう。それらの解決には、広島県・市の行政・がん拠点病院・がん患者・家族との三者一体の密なる連携か不可欠であります。一日も早く、行政・がん拠点病院・がん患者の三者の密なるネツトワークが構築されることを願うものであります。
 次に、広島国際平和文化都市として、忘れてならないことがあります。それは、放射線影響研究所、所謂―放影研(元ABCC)の60年間に亘る研究事業の重要性であります。放影研は、人体に対する放射線影響を調査する日米共同研究機関であり、長期に亘る被爆者の寿命調査と健康調査に関する膨大な疫学・統計のデータがあり、それは、世界的に放射線のリスク評価に広く用いられております。その上、被爆者の血液やがん組織等の生物試料が保存されています。この生物試料は、原爆ドームと同じく、世界遺産であります。今後、それらを用いてのゲノム解析の成果は、原爆障害の本態解明のみならず、原爆障害の認定、被爆者や二世の方々のがんの予防、診断・治療に役立つものであり、更に、それらは、一般国民にも利用することが出来ると確信しております。現在残存されている約5万人の被爆者の方々は、2015年頃がん発生のピークを迎えられ、2020-2030年には、被爆者はゼロになると推定されています。そこで、昨年12月、米国側4名、私を含めて日本側4名から成る放影研将来構想に関する第三者機関、上級委員会が発足し、今後どのような研究を進めるべきか、どのような機関になるべきかを現在検討しております。また、先週、秋葉市長から上級委員会に対して移転の要望書が参りましたが、移転についても現在検討中であります。本年の末までに、それらの将来構想案を纏め、本年末両政府に提案する予定であります。私個人としては、将来、放影研は日米共同機関として存続すべきと考えます。そして、建物は極めて老朽化しており(後10年が限度)、移転は緊急の課題でもあります。今後、放影研は、国内外の大学や研究所そしてがん関連病院や機関と密接に連携体制をとり、人類の福祉と健康に貢献する機関となることが最善の道でないかと考えております。
 最後に、財団法人広島がんセミナーは、本年設立15周年を迎えます。そこで、15年周年を記念して、11月10日、広島国際会議場にて、第17回県民公開講座「広島地域のがん医療の今後の取り組み」を開催します。このたびの県民公開講座は、本年度文部科学省に承認された鳥取大学・島根大学・広島大学3大学の事業「がんプロフェショナル養成プラン」との共催であります。そのパンフレトを皆様方のボクスに入れさせて頂きました。また、翌日の11月11日には、国際シンンポジュウム、「がんの放射線治療」をそれぞれ開催します。皆様の県民公開講座へのご参加を心からお待ちしております。
 終わりに当たり、我がクラブ会員全員が、今後がんに懸からないために、ライフスタイルの改善、即ちがんの一次予防と、がんの早期発見と早期治療のための検診、即ち、がんの二次予防とを同時に積極的に実践されんことを心から願うものであります。このがん予防法は、他の生活習慣病の予防対策と同じく、極めて常識的なものです。即ち、1)タバコを止める、2)野菜を摂る、塩分を控える、カロリを摂りすぎない、3)運動する、4)毎年健康診断を受ける、という4つの項目であります。
 此の一次、二次予防は絶対的なものではありません。もしがんが発見された場合に何処に行けばよいがん医療が受けられるか、また、がんと診断されたが真実なのかどうか、現在がん治療しているががん患者に適しているのか等、いわゆるがんのセカンドオピニオン、サードオピニオンを希望される方は、遠慮なく、私どもの広島がんセミナーにご相談下さい。NPO がん患者支援ネツトワーク広島とも連携をとり適切な回答させて頂きます。
 皆さん、広島地域の13ロータリクラブの中で、わがクラブが、がん死亡率の最とも低いクラブになるように実践しようではありませんか?

Posted by 事務局 at 12時30分

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