卓話時間
第1305例会
2006年09月04日 (月曜日)
- タイトル :
- 「子供を犯罪から守る」
- 卓話者 :
- 広島県警察本部生活安全部 情報官広島県警視
井本雅之 氏
1.はじめに
昨年、広島県・栃木県及び京都府で、女子児童が相次いで殺害される事件が発生したことから、二度とこのような痛ましい事件が発生しないように、国では「犯罪から子供を守るための対策に関する関係省庁連絡会議」が発足し、平成17年12月20日に「半沿いから子供を守るための対策」が決議されました。
そして、各都道府県では、この決定に即し、地域の実情に応じた対策が推進されています。しかしながら、その後も犯罪者の身勝手な欲望や気まぐれによって、子供達が犯罪被害に遭う事件が相次いで発生しています。
2.広島県における取り組み
(1)プロジェクトチームによる取り組み
広島県では、知事部局、警察本部、教育委員会の三者が連携して平成17年4月「子どもの犯罪被害防止対策プロジェクトチーム」を発足させ、子どもたちの危機回避能力の向上に効果的と云われる「地域安全マップづくり」等、様々な取り組みを行っています。
(2)知事等による県民へのアピール
「あいりちゃん殺害事件」後の平成17年12月2日、県知事、県教育長、県警察本部長の三者により
○ 地域の子どもは地域で守る
○ 子どもたちに犯罪から身を守る意識を育てる
ことについて緊急アピールを発出するなど、県民に対する積極的な呼びかけを行っています。
(3)県の重点事業として位置づけ
広島県では、本年度から5年間の長期計画「元気挑戦プラン」を策定しました。
このプランの基本目標である「活力と安心、希望のある(元気な広島県)の実現」を図るため、重点事業として、子どもの犯罪被害防止に向けた学校、家庭、地域、事業者等と連携した取り組みを推進することになりました。
(4)「減らそう犯罪」ひろしま安全なまちづくり推進条例の改正
全国的に子どもが被害者となる犯罪が多発しており、地域社会全体の中で、子どもを守り育む取り組みを広げていくため、県民・事業者の責務の拡大、子どもの安全確保の充実及び防犯指針の策定について、条例の一部を改正しました。
3. 県民の皆さんへ
(1)取り組みの方向性
子どもを犯罪から守る取り組みは、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動して行われるべきものです。ですから、この取り組みは、「多様な主体」が、それぞれの役割を担い、お互いがパートナーとして協働、連携して「安全・安心なまちづくり」と「安心をもたらす警察活動」を両輪として展開していく必要があります。
(2)防犯ボランティア活動
大きな盛り上がりを見せる防犯ボランティア活動は。活動の定着化と幅広い参画による拡大が課題です。あなたも「気楽に」この活動に参加し、決して気負わず、「気長に」そして「危険なく」行って下さい。
[ア] 子どもを見守る活動
ボランティア団体の見守り活動に参加できなくても、子どもの登下校時間帯に、家の前を清掃するだけで結構です。できる範囲で、子どもに声をかけ、見守ってやって下さい。
[イ] 子ども110番の家
児童・生徒の緊急時の避難場所となっているのが、子ども110番の家です。事業所だって、その役割を担うことができるはずです。ステッカーを貼って終わりではなく、助けを求めて逃げてきた子どもが入りやすいように配置してあげて下さい。
[ウ] 子どもの活動拠点を整備していく取り組みに参加しましょう。子どもたちの健やかな育成のため、あなたの特技、趣味などを、是非この取り組みにいかして見ませんか。
[エ] 防犯パトロール活動
犯罪パトロール隊の結成が相次いでいますが、時間的な問題から、こうした活動に参加できない人でも、ウオーキングや買い物等を通じたパトロールなら可能です。不審者がいないかなど、ちょっと意識して行動するだけで、立派な防犯パトロール活動です。
(3)犯罪情報の活用
県警では、犯罪や防犯に関する情報を、ホームページ等を通じて、分かりやすく、タイムリーに発信しています。
犯罪の発生実態を踏まえて、自らの安全確保に努めるのは、あなたの責務です。積極的に犯罪情報等を収集し、何をすべきかを考え、そして行動して下さい。
4 おわりに
子どもを犯罪から守る取り組みを進める上で、地域住民や事業者の皆さんの果たす役割は大きいのです。
地域貢献が注目されている昨今、できることを、できるときに、できる範囲で結構です。地域の子どもの安全確保のために、ご尽力をお願いします。