卓話時間

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2017年04月17日 (月曜日) 12:30
広島原爆障害対策協議会 平松恵一会長(RC会員)
同協議会健康管理・増進センター 藤原佐枝子所長(RC会員)
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アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
第1745例会
2017年04月03日 (月曜日) 12:30
脚本家 鴨 義信氏

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第1625例会

2014年05月26日 (月曜日)

タイトル :
ゲスト卓話
「伝統的工芸品 広島仏壇」
卓話者 :
(株)三村実本店 専務取締役
仏事コ-ディネーター 三村政昭 様

仏事コ-ディネーター 三村政昭 様

 一般的には、伝統のある工芸品の事を伝統工芸品といいますが、昭和49年に『伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)』が公布付されたのちは指定要件にかなうもののみが伝統的工芸品と呼ばれるようになりました。指定の要件とは①日本人の生活に密着し、日常生活で使用されるもの②主要工程が手作業中心(手工業的)であること③技術・技法が100年以上の歴史を持ち、今日まで継続しているもの④100年以上の歴史を持つ伝統的な原材料を使用したもの⑤一定の地域で、地域産業として成立しているもの 検査基準に合格したものには認定証を張る事ができます。伝産法が公布された目的は『一定の地域で主として伝統的な技術または技法等を用いて製造される民衆の生活の中ではぐくまれ受け継がれてきたことおよび将来もそれが存続しつずける基盤が有ることにかんがみ、このような伝統的工芸品の産業振興を図り、もって国民の生活に豊かさと潤いを与えるとともに地域経済の発展に寄与し、国民経済の健全な発展に資することを目的とする』というりっぱなものでありましたが、まさにそのような法律を公布せねばならない程伝統的工芸品産業は深刻な状況に陥りつつあったといえます。ほとんど全ての伝統産業は昭和49年以降生産額、従事者数ともに下降線の一途をたどっております。
 残念ながら広島仏壇も同じような状況です。伝統的工芸品に指定された品目は全国で215品目有りますが、広島県では広島仏壇のほかに熊野筆、宮島細工、福山琴、川尻筆が有ります。さて、伝統的工芸品広島仏壇をお話しする前に、まず仏教の歴史を概観してみたいと思います。『日本書紀』に寄りますと仏教が日本に初めて伝来したのは553年としるされております。時の大和朝廷の有力豪族の蘇我氏が先進国の文化として仏教を取り入れるべしとしたのに対して同じく豪族の物部氏はわが国は古来神国であるので、外国の神を祀るべきでは無いと主張したと伝えられております。権力争いの結果、蘇我氏が勝利し。以来仏教は朝廷において重視されてきました。代表的なのは推古天皇の摂政となった聖徳太子で、十七条の憲法を制定するなど、仏法を統治の基準とされました。
 法隆寺をはじめとして、次々に立派な寺院が建立されて行きましたが、実際に仏教が民衆の間に広まっていったのは鎌倉時代以降のようです。鎌倉幕府は臨済宗・曹洞宗を庇護して禅宗が武士の間で広まっていきました。禅宗では位牌をお祀りしますが、インド仏教ではそのようなものは無く、中国において儒教の思想の影響を受けたものと考えられています。もともと位牌棚だったものが後に仏檀となったという説もあります。鎌倉時代に法然上人や親鸞聖人に寄って広められた厳しい戒律を必要としない教えは農民をはじめとする民衆の間に次第に浸透してゆき、室町時代に蓮如上人の時代に飛躍的に発展していきました。浄土真宗(当時は一向宗と呼ばれていた)の8代目の宗主蓮如上人は1496年には大阪の石山に石山本願寺を建立し精力的に布教をしました。比叡山と同様に地侍や僧兵を擁する本願寺も次第に戦国大名に引けを取らない政治勢力となり、ついに1570年から10年間にわたり信長と戦うこととなりました。信長の亡き後、秀吉、徳川家康らの統治政策により幕府の封建的秩序のもとで、各宗の寺院は政治権力は失ったものの安定した経営を営むようになりました。江戸時代は檀家制度のもとで仏教文化が日本の隅々に浸透してゆき、各家に仏檀も置かれるようになって行きました。復古神道(廃仏思想)を思想的背景に持つ明治政府やその後世界大戦に通じる政治的・思想的圧力の中で、仏教がいかに庶民の生活の中で生きつずけてきたか言及したかったのですが、時間切れとなってしまいました。
 広島仏壇は七つの工芸技術の組み合わせで出来ています。まず、木地師・仏檀の本体になる部分を製作する。松や杉、時には桧を木のクセを考慮しながら組立安い様に(後に塗装加工をほどこしやすくする)又部分的にはほぞ組等の加工をして堅牢に仕上げる。狭間師は紅松等を型紙に下絵を描き彫刻してゆく。
 広島仏壇では親鸞聖人の説話などが図柄となる事が多い。宮殿師は仏様を安置する部分を製作するが、まさにお浄土に有るといわれる楼閣(宮殿)に当たる。寺院建築のミニサイズといっても良いかもしれない。仏檀の壮麗さを表現するのに無くてはならない部分である。宮殿を支える部分を須弥壇(卓)というが、その部分の製作を担当するのが須弥壇師(又は卓―しょく師)である。ほとんど全ての寺院の本堂内にも須弥壇をみることができる。木地・狭間・宮殿・須弥壇が仕上がったら塗師に転送されて塗装を施す。伝統的工芸品では天然漆が主要塗料として使われる。漆は乾燥させるために湿気と適温が必要なため特殊な室(ムロ)で乾かす。漆を漆ハケを使ってむらなく塗り上手に乾かすにはかなりの熟練を要する。仏檀の飾棚となる部分は、漆を塗った後、蒔絵師の所に転送されて蒔絵が描かれる。『蒔絵筆』という特殊な細い筆を使い、漆で絵を描きます。これも永年に培われた職人の勘と・技が必要とされます。お仏壇の扉や障子を取り付けるためには金具を必要としますが、その部分の製作を担当するのが,錺金具師です。真鍮板や銅板に型紙で図柄をおこし、何百種もある鏨を使って模様を施します。そして用途に応じて金メッキあるいは特殊技法を使って青・茶・黒等の着色をして仕上げます。伝統的工芸品 広島仏壇の認定基準は非常に厳しく現在1年間に10本も生産されていません。時代環境の変化によって仏壇業界は非常に厳しい状況に有りますが、一人ひとりが、自分の命の源と出会う場所としての仏檀を、これからも大切にされる事を摂に願っております。ご静聴ありがとうございました。
株式会社 三村実本店  三村政昭

Posted by IT at 12時30分

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