卓話時間
第1283例会
2006年03月13日 (月曜日)
- タイトル :
- 中学校の職場体験について
- 卓話者 :
- 広島市教育委員会 学校教育部指導第一課長 生田一正氏
ただいまご紹介をいただきました指導第一課長の生田でございます。短い時間ではありますが、本市の小・中学校教育の現状、そして、中学校を中心とした職場体験の充実をめざしたキャリア教育の推進について、ご説明させていただきます。
本市には27幼稚園、140小学校、63中学校、1養護学校、8高等学校がございます。各園、学校では、
(1)「学力の向上をめざす」(基礎・基本の定着とわかる授業づくり)
(2)「豊かな人間性の育成をめざす」(挨拶・整理整頓・時間厳守などの基本的生活習慣の確立と心の通うコミュニケーションづくり)
(3)「まちぐるみ」による教育をめざす(教育活動の公開と開かれた学校づくり)
という3つの柱をかかげ、信頼される学校づくりをめざし、取り組んでいます。不登校児童生徒数の推移のグラフをみると、平成16年度は、小中学校児童生徒約10万人中1202名、約1.2%が30日以上の欠席、つまり、不登校状態にある子どもたちです。このような子どもたちとしっかり向き合い、人間性や社会性を育てていくことが必要であり、自然体験、社会奉仕体験、職業体験などの直接体験活動が重要になってきています。このことからも、全国的に取り組まれている中学校における職場体験は、有意義な活動といえます。
わが国の現状として、フリーター志向の広がりや若年者の早期離職、特に約64万人もいると言われるニートの問題などがあります。このような現代社会の中で、発達段階に応じた取組を展開することにより、将来の夢や希望を抱き、その実現をめざし、子どもたちに望ましい勤労観や職業観を育成することは大変重要です。文部科学省は、平成17年度から3カ年間、キャリア教育実践プロジェクト事業として職場体験学習を全国の中学校で展開しています。お手元にございます“中学校職場体験ガイド”は、昨年11月に文部科学省が作成したもので、基本的な考え方から5日間のプログラム内容など、学校、家庭・地域、事業所等の役割などがまとめられているものです。
今年度、本市では10校1,343名の生徒が439事業所で、来年度は9校1,415名が425事業所での活動を予定しています。この取組「キャリア・スタート・ウィーク」は、連続5日間、職場体験学習を行います。これまで、1~2日間の体験では、「礼儀、マナー、挨拶」などが大切だと感じていた生徒が、5日間の体験を終えると、協調性、積極性、責任感が大切であるという発見をしています。
職場体験は次代を担う子どもたちを地域全体で育てるという視点に立ち、校区内の企業等との連携を密にし、PTAやロータリークラブ等の協力は不可欠であります。今日のこの会をきっかけにして、是非、本市中学校における職場体験学習に対して、御理解と御協力をお願いします。
本日は、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。