卓話時間

第1747例会
2017年04月17日 (月曜日) 12:30
広島原爆障害対策協議会 平松恵一会長(RC会員)
同協議会健康管理・増進センター 藤原佐枝子所長(RC会員)
広島市医師会臨床検査センター  谷敷圭美センター長
第1746例会
2017年04月10日 (月曜日) 12:30
アメリカンドリーム代表 吉川浩司氏
第1745例会
2017年04月03日 (月曜日) 12:30
脚本家 鴨 義信氏

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第1248例会

2005年05月30日 (月曜日)

タイトル :
「森と人の文化史・太田川流域」
卓話者 :
写真家 井手三千男氏

広島市に注ぐ太田川は、全国109の一級水系の中で幹線流路で50番目、流域面積では39番目という中位の河川で、流路の割りに流域面積が高位にあるということは、その分水がめが大きく、河口の広島市でも渇水になりにくいということです。
太田川の本流の源流は、廿日市市吉和の西端、吉和冠山(1,339m)の南斜面を少し下ったコルの1,260m付近のブナを中心にした落葉広葉樹(八郎杉といわれる天然杉の銘木も混交)の林の罎砲△蠅泙后
この付近の川幅は1mもなく深さも数センチで、1日の大半、水は伏流し、春、雪解けの時期と6月の梅雨の一時、流路を潤わしているに過ぎないようです。
太田川の源流から河口までの地理学的特徴を考えてみますと、まず中国地方全体を見てみる必要があろうかと思います。中国地方は、ほぼ中央を脊骨のように東西に貫く1,400~500mの山脈が横たわり、その高所から発する河川は、申し合わせたように片や日本海に、一方は瀬戸内海へと注いでいます。
中でも太田川は、源流から河口まで総長約110?でありながら、源流の冠山から最短の南東に線を引くと瀬戸内海の廿日市市まで約30?しかなく、川筋鮹?辰討發曚棕影?旅堋?捻??椎修任后
では、なぜ太田川は山脈の南斜面を南進する最短コースを辿らず、まず東へ向かい、可部でようやく南進し広島湾に至る複雑な動きをしたのでしょうか。太田川には源流の里吉和から北東に向かった立岩断層帯を初め、大きな断層帯7本が大きな支流に沿って存在し、本流はそれらを割って流れたため、このように大きく蛇行し流域面積を大きくしたようです。このため日本三大名峡と云われている特別名勝「三段峡」を筆頭に、四季を通じて楽しめる多くの峡谷を生み、自然回帰の所にもなっている。またこのように変化が大きく、海抜0mから標高1,300mまで、亜熱帯から寒帯まで日本のほぼ全域の動・植物にも普通の自然に出合える所でもあります。
この流域では、古代から「鉄」の生産が盛んで一大産業になっていましたが、そのもっと以前日本列島に「ヒト」が住み着いたと思われる旧石器時代の約24,000年前、太田川の最上流部吉和の「冠高原」に流域で最初の「ヒト」は住み着いたようです。
良質の安山岩の採れるこの高原に住んだ人々は石器の原料の安山岩を採掘し、広く西日本一帯に流通させたようです。
 その後前述の和鉄生産は、原料の真砂砂鉄の入手のため、山の形が変わる程、山を切り崩し「鉄穴流し(かんなながし)」という方法で砂と鉄の原料を選り分け、その跡は大きな段上の空き地ができたようです。
 これらの多くは棚田として開発されたり、宅地として住宅を建てたりもし、狭隘な中国山地に今もその姿を見ることができます。
 このように一大工業地帯であった太田川流域は、河川の氾濫も多く、江戸時代初期広島藩では、たたら製鉄業は大いに奨励したものの、藩内山間部地域での鉄穴流しは、河口の広島府内の河床が高くなり、治水や舟運り航路確保など藩府を災害から守るため禁止し、流域の河川の中に「水はね」など水流を弱める装置も数多く作られました。
 安芸太田町加計の坪野地区、太田川上流の峡隘な谷の沖積台地の集落で、目の前に太田川の流れはあるものの集落内に川は無く畑地ばかりの所でした。江戸末期、地区の農民達は生活雑排水を流したり、洗濯や野菜を洗ったりと、生活の用にと、用水路を開削しました。見た目には普通の用水路でしたが、随所に環境への配慮の痕が見られ、例えば、各家庭からの雑排水は裏庭に設けられた沈殿池を通し用水路に戻し、水路内には鯉を放し有機物を喰わせ、水路の石垣近くには水生植物を植え、水の浄化を行い、太田川へ返し、下流の住民達への配慮も怠らなかったようです。当初から続く「水番」は今も機能し、住民達の豊かな心意気とともに、親から子へ、子から孫へと伝えられた環境への配慮とコミュニティーの大切さを体感させられます。
 短い時間で多くを語ることはできませんが、太田川の自然と環境をテーマに人の生活の中での心のあり方の一端を語ろうとしたつもりです。舌足らずはお酌みとりいただくとして、最後に一言申しておきます。
 日本は敗戦から立ち直り、経済は世界が目を見はる程の高度成長をとげ、先進国の仲間入りをし、旗頭にもなりました。反面有史以来築き上げ討?拭⊃佑??海魴匹ぁ峩β検廚靴討?振ζ餌里魄貶??鵬鯊里掘∋θ欧箸靴晋朕夕腟舛砲?舛い辰討靴泙辰燭茲Δ任后
 太田川というフィールドでも人々が長い年月、試行錯誤を繰り返しながら培ってきた生活の数々を今一度見つめ直してみる必要があるように思います。

Posted by 事務局 at 12時30分

2016-2017年度

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2017 6/30Friday

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