卓話時間
第1627例会
2014年06月09日 (月曜日)
- タイトル :
- カンボジア歯科医療支援
- 卓話者 :
- 広島大学歯学部国際歯科医学連携開発センター
国際活動企画運営部 岩本 優子様
カンボジアでは長い内戦やポル・ポト政権下における知識層大量虐殺の影響から歯科医師数が不足し、経済格差も大きいため、重症齲蝕の者が多いにも関わらず、そのほとんどは歯科受診が困難であるといいます。そこで、広島大学歯学部では、2009年より県内のNPO法人と協力し、教職員や学生の有志からなるメンバーでカンボジアを訪問して、歯科医療支援活動を実施してきました。この度、2014年2月から3月にかけて、7回目の現地活動を実施いたしました。
現地活動においては、「個人」から「国」まで様々なレベルへの介入を通じた総合的な支援を目指しています。小学校を訪れて歯科健診や治療、口腔保健指導を実施する「個人」を対象にしたアプローチをはじめ、小学校教諭に対して口腔保健指導法を広める「学校」へのアプローチを展開し、同時に現地の「病院」等の医療機関とは、健診後の治療受け入れや継続した指導に関する協力体制を築いております。歯科医師養成課程をもつ「大学」に対しては、学部単位での学術的な交流はもちろん、農村部小学校での我々の活動に学部学生や教員を派遣いただき、将来的にカンボジアの方の手による歯科医療の供給が成されるよう働きかけるなどしています。さらに、「国」に対しては、保健省口腔保健局メンバーの日本での研修をアレンジし、口腔衛生に関する現地語の冊子を共に作成するなど、政策整備を視野に入れたアプローチを実施しています。なお、この冊子の印刷には中央ロータリークラブ様からの御支援をいただいております。
継続した活動の実施により、介入した小学校において、指導の定着や未処置者数の減少等、目に見える成果も表れつつあります。これらをモデルケースとし、今回新たに教員養成校等への介入を始め、州や国全体の小学校への口腔保健教育の導入へ結びつくことを目指しています。
今後の継続的な関わりにより、現地の実情に合致した口腔保健活動の定着を図るだけでなく、指導者の育成や健康教育を支援することにより、国としての「治療」から「予防」へのシフトを推し進め、将来のカンボジア国内における自律した歯科医療サービスの提供へと結び付けたいと考えております。
広島中央ロータリークラブ様には、継続したご支援をいただきまして、大変感謝しております。どうぞ、今後共ご理解とご協力を賜れましたら幸いに存じます。
第7回カンボジア歯科医療支援活動のご報告およびご支援へのお礼
広島大学大学院医歯薬保健学研究科国際歯科医学連携開発学
教授(兼任) 高田 隆
広島大学歯学部国際歯科医学連携開発センター
国際活動企画運営部 岩本 優子
2014年2月26日より3月5日にわたって、カンボジアシェムリアップ州を訪れ、第7回カンボジア歯科医療支援活動を実施して参りました。今回は広島中央ロータリークラブ様からもご支援をいただき、以下のような活動を実施して参りましたのでご報告いたします。
活動日程と内容
2014年 | 活動場所 | 活動内容 |
2月26日(水) | 必要物品買い出し・物品準備 | |
2月27日(木) | ワット・ボー小学校 | 教員研修会を開催し模擬授業実施 |
2月28日(金) | ワット・ボー小学校 | 児童の歯科検診、口腔衛生指導、口腔内写真撮影 |
3月1日(土) | ワット・ボー小学校 | 児童の歯科検診、口腔衛生指導、口腔内写真撮影 |
3月3日(月) | ササースダム小学校 | 児童の歯科検診、治療、口腔衛生指導クラス単位での歯科保健指導、唾液検査等 |
3月4日(火) | ササースダム小学校 | 児童の歯科検診、治療、口腔衛生指導 |
3月5日(水) | シェムリアップ州教員養成校 | 口腔衛生指導法に関する研修会開催 |
参加者
◇広島大学教職員
歯科医師 5名、歯科研修医 3名、歯科衛生士 1名
◇広島大学大学院生
歯科医師 4名(うちカンボジアからの留学生1名)、歯科衛生士 1名
◇広島大学歯学部学生
歯学科5名(うちカンボジアからの留学生1名)、口腔健康科学科8名
◇開業医等
医師 1名、歯科医師 1名、歯科衛生士 1名、その他 7名
◇カンボジア国立健康科学大学
歯科医師 1名、卒業生(歯科医師) 1名、学生 5名
計 44名
ぬいぐるみや紙芝居を用い、カンボジア人の先生も参加型の模擬授業を実施しました。
熱心にメモを取る姿が見られ、継続してきた成果も実感できました。