卓話時間
第1574例会
2013年02月25日 (月曜日)
- タイトル :
- 世界理解月間に当たって
「国際ボランティアのあり方を考える -チィ先生の小さな音楽隊-」
- 卓話者 :
- 国際奉仕委員会委員長 高田 隆
第一回のロータリー例会が1905年2月23日に開催されたことを記念して、2月はロータリー暦の上で「世界理解月間」として指定されており、全てのロータリークラブが世界平和のためのプログラムを企画することとなっています。そこで、本年度の世界理解月間の企画を奉仕プロジェクト委員会で検討させていただき、徳見理事をはじめとする奉仕委員会の皆様のご推薦ならびにプログラム委員会の嶋本委員長のご高配のもとに、カンボジア医療支援を通して知った田中千草さんの活動を紹介させていただくことといたしました。
田中千草さん(チィ先生)は2007年1月より、ICA青年海外協力隊小学校教諭としてカンボジアへ赴任しました。配属先となったワット・ボー小学校は、アンコールワット観光の拠点となるシェムリアップにある児童数約5000人のマンモス校です。シェムリアップ市内には次々と豪華な施設が建築されているものの、教育環境は未だ整っていません。チィ先生は青年海外協力隊員としての2年の任期を終え、2009年1月に一旦帰国しましたが、帰国時に集まった1万人を越える児童や父兄からなの「残ってほしい」と願う署名に感動し、同年4月から再び同小学校に、今度は個人として自費で赴任しました。カンボジアでは、ポルポト政権下で教育システムが崩壊し、未だ十分な教育が行われているとは言えません。特に音楽や体育といった情操教育は確立していません。そこで、チィ先生は音楽の授業を始めるために音楽教員の研修や授業のカリキュラムを作成するとともに、日本からの寄贈による楽器を集めて「チイ先生の音楽隊」を結成しました。当初は11人の小さな音楽隊でしたが、今では全校に音楽教育が普及しています。
現地における活動の中で、貧困により学校に通えない子ども達のいることに心を痛め、チィ先生自ら6人の子供たちを引き取って一緒に生活するとともに、「アナコット基金」を創設して子ども達の就学支援をしています。
チィ先生のこのような活動に対して、国民栄誉賞の青年版である人間力大賞グランプリ内閣総理大臣奨励賞(2011年度)が授与されました。
チィ先生は言います。
ものだけあげてももったいなあと思います。使われないで放置されているものが、少なくない。何もせずに施しをもらうのでなく自分たちの力で自立することを誇りに思ってもらいたい。
カンボジアの子ども達はまだまだ過酷な環境にありますが、決してかわいそうだと思いません。夢を持って真剣に生きている子供たちから逆にたくさんのことを学びます。夢と輝く瞳をなくさないように、自分たちの未来を自分たちの手で作っていけるように、そんな手伝いをしたい。
カンボジアの歯科医療支援を通して、田中さんの活動を知る機会を得ることが出来、彼女の活動に感動する一方で、このような活動が自分にも出来るかどうかと考えた時に、正直なところとても自分には出来そうもないと心が重くなりました。しかし、人間力大賞を受賞したときの田中さんのコメントに以下の一説がありました。
「自分のやっていることは、人が人として困っている人を助ける.ただそれだけのことです。出来る時に、出来る人が出来ることをすれば良いと思います。」
この言葉を聞いて、ほっとするとともに、また、国際ボランティアに取り組む勇気がわいてきました。
世界理解月間に当たっての今回の企画が、広島中央ロータリークラブの皆様方にとって国際ボランティアを考える機会となれば幸いです。
追伸:今回、ご覧いただいたビデオは、BS朝日で放映された1時間の番組を時間の関係から20分に短縮したものです。オリジナルをご覧になりたい方は、クラブ事務局までご一報ください。なお、田中千草さんの活動は下記のURLでご覧になれます。
http://anacott.web.fc2.com/index.html