卓話時間
第1557例会
2012年09月24日 (月曜日)
- タイトル :
- ゲスト卓話
「シターの歴史、演奏」
- 卓話者 :
- バイオリン・シター奏者 白井朝香 氏
シター(cithare)はフランスの宗教楽器です。日本ではまだその名をあまり知られていませんが,歴史は古く紀元前に書かれた旧約聖書の詩篇の中にもその名を見ることができます。南フランスの修道院を中心に,神を賛美する歌や感謝の祈りの伴奏楽器として伝えられました。120本余りの弦を張り,右手で旋律,左手で和音を弾いて演奏する素朴な楽器ですが,天から降り注ぐような優しい響きをもつ癒しの音色は,聴く人の心に深く響きわたります。
紀元前からの長い歴史を持ちながら,限られた修道院の祈りの場で引き継がれ,現地フランスの方にも殆ど知られていない幻の楽器シターの音色には,まさに祈りの楽器と呼ぶにふさわしい内省的な癒しの力が宿っているように思います。シターの演奏を聴いた方の非常に穏やかな反応は,20数年ヴァイオリン奏者として舞台に立ち続けてきた私にも驚かされるものがあります。
2009年パリのマドレーヌ寺院において,広島から平和の祈りを込めて,日本人としては初めてフォーレのレクイエムを演奏する機会に恵まれ,広島の音楽家の1人として平和を希求する思いを音楽で発信してゆくことの大切さを感じました。聴く人の心に平安をもたらすシターの音色は,きっとこの広島の地から平和のメッセージを発信してゆく一助を担うものと確信し,これを広めてゆきたいと思っています。
演奏曲目
・「平和の鐘」
・「アメイジング グレイス」
・「鳥の歌」
・「ジュピター」
なお,youtubeの,「フランスシター 演奏:白井朝香 2」でも,シター演奏を見ることができますので,ご参照ください。http://www.youtube.com/watch?v=9uF_PO8tZRg