卓話時間
第1355例会
2007年11月19日 (月曜日)
- タイトル :
- 「教育者のいない教育機関―ITC」
- 卓話者 :
- ITC会員 村山 紀子氏
今年の7月にオーストラリアのブリスベンで開催されたITC世界大会に参加し、帰国後まもなく、広島の料亭「豆匠」で貴クラブ会員の岡本先生にお夕食をご馳走になる機会がありました。 あちらで毎日カンガルーやコアラのお肉を食べた後、ここのお豆腐料理は私の五臓六腑に染み渡りました。煮物の煮汁があまり美味しいので、器を持って、思わず、ずずっとやってしまいました。仲居さんが器をさげた後、女将さんがお部屋にご挨拶にお越しくださいました。(きっと仲居さんが、「お行儀の悪いお客さんです」と女将さんに言ったに違いない。岡本先生が連れて来たお客の品定めをしにいらっしゃったのかもしれない)と思いました。女将さんに私が「オーストラリアから帰ったところです」とお話しますと「何のご用でしたか」となかなか話しを引き出すのがお上手で、私はITCとはどんな会なのかを、得々と説明してしまいました。そういうわけでITCについて卓話をさせていただくことになったという訳です。
私は10年前にInternational Training in Communication(略称ITC) の会員になりました。ITCは約70年前にアメリカの女性によって創設されました。彼女は将来、女性の力が、政治・経済など社会を動かす原動力となることを予見していました。そのために女性の知力、能力の向上を目指して、アメリカでトーストミストレスという組織を作りました。その組織が今のITCの前身です。その後ITCは世界中に広がり、今では18ケ国、約4500人の会員数になりました。日本では約60年前に種が撒かれ、現在、日本には85クラブあり,中には英語のクラブもあります。 ITCは自己啓発を目的とする教育機関ですが、教育者はいなく、お互いに学びあうのです。
ITCは世界大会、日本リージョン大会、カウンスル会合、クラブ例会が行なわれています。
ロータリーの組織図に似ています。
クラブ例会は月一回行われ、会の運営もほぼロータリーに似ています。違っていることは、任務についてITC「マスターマニュアル」や部門別の「教育資料」という教材があることと、任務が終わると、その結果について評価されることです。評価者や総評者がいて、相手の立場を理解し、思いやりある言葉で評価し、改善点を示し改善方法を提案します。評価をすることも受けることも、向上の第一歩だと考えられています。評価に対して不満や反論をしてはいけません。時には受け入れられない評価に、ぐっとこらえなければなりませんが、評価者の意見を参考にするのも訓練の一つです。
ITCマスターマニュアルにはスピーチの基本、評価、管理運営、議事法、任務、ゲストへの配慮、編集、ワークショップリーダー、メンタリングなどについて書かれています。
ITCの中心的なプログラムはスピーチコンテストです。今年、私はスピーチコンテストに出場しましたが、マスターマニュアルを使って文章の作り方や話し方を学びました。クラブ、カウンスルで優勝したスピーカーは、日本リージョン大会へ出場します。同時に英語のコンテストも行われ、優勝者は世界大会に出場します。
先日、ワークショップで学んだ自己紹介のスピーチについてご紹介します。
人と人との出会いは自己紹介から始ります。コミュニケーションをしたいから、自己紹介をするのですから、しっかり相手の記憶に残るように話します。
1) 相手の心に届くよう、目を見て、はっきりと名前を言う。
2) 仕事や趣味について楽しく、短く話す。
3) 印象深い言葉を添える。常日頃から準備しておくと良い。
例えば:私は村山と申します。岡山から来ました。家族は夫と3人の娘です。
趣味は歌うことです。仕事は主婦です。
と言うよりは
私は岡山市から来ました村山です。家族は、たった一人の夫に、娘ばかりが3人もいます。趣味は鼻歌を歌うことです。仕事は掃除、洗濯、料理など家事一般のプロです。
と言い換えたほうが少し印象深くなりませんか。
自己紹介のスピーチのことをアイスブレーカーと言い、人生に大切なチャンスをもたらす場合があります。出会いの中でとても大切な「はじめ」は2つあります。
1)自己紹介 と 2)初仕事です。
1)はじめて出会う人とは、分厚い氷をぶち破って、知り合いになります。その自己紹介が楽しく印象深いものであるなら,この人とお付き合いしたい、仲間に入りたい、一緒に飲みに行きたい、などと思いませんか。
また2)知り合った相手とはじめて仕事をするとき、その人の知力・能力・体力を惜しみなく提供し、誠意ある態度を示してくれた人とは、また次の仕事も一緒にしてみたいと思いませんか。この繰り返しがよいコミュニケーションを生み出すのだと思います。
今日の私の自己紹介と貴クラブでの初仕事が上手く行ったかどうか心配です。
このようにITCは会員同士で切磋琢磨しながら学びあい成長しあう「教育者のいない教育機関」なのです。