2016-2017年度　3月期

広島県警察　小西　明氏

広島県の刑法犯認知件数は,戦後ピーク時であった平成14年以降,減らそう犯罪県民総ぐるみ運動の広がりにより確実に減少を続け,去年は戦後最も少ない年となりました。
しかしながら,面識のない不特定の人に対し,電話や郵便物などを利用し,直接対面することなく言葉巧みに相手を騙してお金を振り込ませる特殊詐欺の被害は,今年2月末現在で被害額は2億円を超え,広島県は全国ワースト3に入る深刻な事態にあります。
こうした特殊詐欺の代表的なものは,振り込め詐欺です。
振り込め詐欺は,①なりすまし詐欺,②架空請求詐欺,③還付金等詐欺,④融資保証金等詐欺の4つの種類があります。
1つめのなりすまし詐欺は,オレオレ詐欺とも呼ばれ,子や孫になりすまして示談金などのお金が必要と騙し,現金を振り込ませるというものです。最近は,振り込ませる手口から,被害者から直接現金を受け取る手口,警察官や公的機関の職員になりすまして被害者の家を訪問し,キャッシュカードを受け取る手口も出てきています。
2つめの架空請求詐欺は,メールや郵便物等を利用し,身に覚えのない代金請求を行い,お金を振り込ませるというものです。
3つめの還付金等詐欺は,税金,医療費,年金等が戻ってくると騙して,被害者をATMに導き,お金を送金する操作をさせるというものです。
4つめの融資保証金詐欺は,資金繰りに困っている中小企業経営者等を狙い,融資する前に,融資する前に信用保証金など称して先にお金を振り込ませるというものです。
振り込め詐欺と疑う電話がかかってきたときは,新たな被害を出さないためにも,直ちに110番通報をしてください。
さらに最近では,振り込め詐欺に類似した新たな手口の詐欺が増えています。代表的なものでは,電話やパンフレットなどで未公開株や社債,イラク・スーダン・アフガニスタン・イエメンなどの外国通貨の購入を持ちかけ,お金を振り込ませる投資型の詐欺があります。
これらの詐欺は,複数の業者が次々に登場して電話をかけ,言葉巧みに相手を騙していきます。主に高齢者や投資経験者などが狙われ,個人情報が悪用されています。
犯罪は脅したり盗む時代から,騙す時代へと変化しています。上手い儲け話はありません。トラブルや被害に巻き込まれないためには,契約は一人で判断せず,慎重に取り引きするよう心掛け,よく分からないときは,最寄りの警察か消費生活相談窓口まで相談してください。

広島県警察　減らそう犯罪情報官　小西　明