2016-2017年度 2月期

第1194例会記録

2004年02月23日 (月曜日)
【場所】 リーガロイヤルホテル広島  【ロータリーソング】 奉仕の理想

本日のプログラム
ゲスト卓話 「プロ意識」
卓話者
P&P社長(元広島カープ投手)渡辺弘基氏
担当
出席委員会
会長時間
・インターシティーミーティング参加報告
・本日(2/23)はちょうどロータリー創立記念日(99周年)です。次年度は在広RC合同で100周年記念式典が開催される予定です。
幹事報告
・次回例会は会場変更し4階で開催しますのでお間違えなく。
委員会報告等
・職業奉仕委員会:禁煙例会
・国際奉仕委員会:使用済み未使用テレカ及び書き損じハガキ古切手収集
・美術同好会:遠征鑑賞会に不参加の方へのお願い
・出席委員会:出席報告
その他
バイキング例会

卓話時間

プロ意識

P&P社長(元広島カープ投手)渡辺弘基氏

昭和49年、阪急ブレーブスからカープにトレードで来て以来、広島とご縁ができた私ですが、閑古鳥の鳴くパリーグからセリーグに来れたことで「栄転させてもらった」とばかりに嬉しかったですね。これでテレビにも映れる、名前も広く知って貰えると。私のほかに二人ほどトレードでカープに入ってきましたが、彼らは「左遷」と思っていたのに、私は栄転、かなり意識の違いがありました。元来、前向き、プラス思考な私ですが、これは現在の仕事においても随分と役立っています。本題の「プロ意識」ですが、ピッチャーとバッターを例にあげてプロのレベルを少し話してみるところから始めたいと思います。
カープの北別府投手が全盛の時、ボールを投げるとキャッチャーが構えるところへ10球のうち9球はピシリと納まっていました。
いや、10球全部といってもいいほどでした。これが高校生となると、ド真ん中めがけても左右にブレ、なかなかストライクが先行しません。大学生、社会人で半分ぐらいでしょうか、プロの一流とはかなり差がありますし、それでないと一流のプロにはなれません。そういうものなのです。ですからボールから入って、打者の打ち気を逸らしながらカウントをかせいでいく、こんな芸当を一流のピッチャーはできるのです。
打者でいいますと、バッティング練習で真芯でボールをとらえて打ち返すことは、一流なら10球を10球とも可能とします。実戦ではこれに変化球が来たり、さまざまな駆け引きが行われるのですから、練習の球ぐらいすべて安々と打ち返せねば一軍として通用しません。これを先程の高校生や大学生に当てはめると、やはりよくて半分といったところです。それだってなかなかのもんですが、プロとしては通用しません。到底、一軍の選手として活躍することはできません。ざっとした話ですが、プロとアマチュアの違いを理解していただけるかと思います。そういったプロの世界に身を置いた私ですが、決して抜群の選手とはいえませんでした。
ご覧のように恵まれた体をしているわけでもありません。上背176センチ、プロの投手としては小さい方です。それなのに、まあ、高校、大学、社会人と比較的「運」にも恵まれながらプロへの階段を上ってきたわけです。ですからプロに入ってからもキャッチャーの狙ったところにピシッと投げることがなかなか叶わず、どうしたらという思いがかなりありました。
ある時、どうしたら思うようにボールが投げられるかと先輩に聞いたところ、いとも簡単に答えが返ってきました。「イメージをしろと」。「こういう風にボールを放して、投げたボールはこういう風にキャッチャーまでに軌跡を描いてミットに納まる。そのイメージがしっかりと出来ていれば思ったところに投げられる」と。私はハッとしましたね。それまではミットめがけてがむしゃらに投げるだけで、イマジネーションというものを持っていなかったからです。
こういう、いいイメージはあらゆる場面で大切なものです。別な言い方をすれば気持ちの持ちようとでもいうのでしょうか。打時はどうか、大きく後ろにしならすと変化球とか、人それぞれに癖が出てきます。
カープの外木場投手が全盛の時、あの人にも大きな癖がありました。振りかぶった姿勢を横から見ると、直球と変化球で実に大きな違いがあったのです。これでは投げる前に相手の打者に球種を読み取られてしまいます。私たちは、「外木場さん、直球と変化球でそんなに振りかぶる姿勢を違えると相手に見抜かれますよ」とご注意申しあげたところ、「そんなものスピード(威力)で抑える」といともあっけなく答えられたことがあります。ま、それぐらいボールに勢いがあったということですが、あれは恵まれた体格を与えてくれた親に感謝すべきで、私のようなごく一般の選手には通用しない話です。私などはいかに癖をなくすかに苦心させられたものです。話は少し、私の現役時代に遡ります。余談でありますが、グランドでプレーしている選手にとってヤジは実によく聞こえるものです。
調子のいい時に私の出番がアナウンスされると、球場がワーッと盛り上がっていくのが肌身で分かります。そうなると、よし、今日もやってやるぞ、と力が漲ってきます。一方、調子が悪い時に出番がかかると最悪です。ファンの皆さんもそれを知っていて、「ピッチャー渡辺」とアナウンスされるや「ヤレヤレ」といったため息に似た失望感のようなものが球場にドッと吐き出されます。こうなるとダメです。マウンドに立っても「どうも打たれそうだ」の思いばかりが先行し、事実、ボール、ボールといってストライクを取りに行くとカキーンとやられてしまいます。悲惨ですね、でも誰も助けてくれません。なんでこんな因果なプロ野球の選手になったんだろうと思ったりします。「渡辺のバカヤロー」とか「引っ込んでろ」なんていい方で、今もって忘れられないヤジもあります。そのヤジを最後にご紹介して私の話を終えたいと思います。それは「朝まで投げてろ!」です。忘れようとしても忘れることができません。一体どなたがあのヤジを飛ばしたのでしょうかね。
ここにおられる方、また、ロータリーの方はそんなヤジは飛ばしたりしませんよね、信じております。本日は、ご静聴ありがとうございました。

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