- 本日のプログラム
- ゲスト卓話「日・欧米の下町事情」
- 卓話者
- 明治学院大学名誉教授 山中一郎 氏
- 担当
- プログラム委員会
- 祝事等
- 創業月会員(3名)
- 幹事報告
- ・BOX配布物の確認
(1)05-06年度6月号会報
(2)在広RC会員名簿・クラブ会員名簿の2種
(3)05-06年度最終版ガバナーズレター
・ロータリーレート変更
8/1より1ドル114円に変更(現在110円) - 委員会報告等
- ・出席委員会=出席報告
・社会奉仕委員会=愛のコイン箱
・国際奉仕委員会=使用未使用古切手類収集
・職業奉仕委員会=四つのテスト唱和
・ロンガルス絵画同好会=第4回作品展開催報告、次回5周年作品展予定(2007/10/17より一週間) - その他
- バイキング例会
卓話時間
日・欧米の下町事情
明治学院大学名誉教授 山中一郎氏
私は大学で、7年間勤務すると1年間の有給休暇がもらえるという制度を利用し、2回(約2年間)、20数カ国を旅して参りました。犯罪が研究目的でしたから、ケンブリッジ大学の犯罪学研究所の客員研究員になりました。しかし英国では日常的とともいえる一般公務員の汚職は、ほとんど存在していません。折りしもアメリカのUCバークレーの犯罪学部長が客員研究員として、研究所に来ました。彼いわく、汚職の研究ならアメリカが一番。私がスポンサーになるからバークレーに行くよう助言され、その後約6ヶ月はアメリカに滞在しました。
みなさんは吉島の刑務所を見学、訪問されたとのことですが、わたしもイギリス、アメリカで多くの刑務所、少年院、医療刑務所を訪ねました。それぞれお国柄があるようですが、日本とは際だった違いがあります。まず英米とも、個人主義、個人の権利が格段に尊重されており、まず個室が与えられているということ、そこの鍵も各自が持っています。勿論、死刑囚は例外ですが、われわれは、囚人と何人とでも自由に会話ができます。サンフランシスコ湾の北の端にサンクエンチンという重罪刑務所があります。その刑務所をUCBの犯罪学部の学生と同行、見学しました。前日、大学で見学に就いての注意事項の説明がありました。一週間前に所内でトラブルがあり、七名の黒人の服役囚が射殺されたということで、当然、大学側もナーバスになっており、服装なども出来るだけ地味にという指示。当日刑務所内での学生の身形はいつもと変わらず、女子学生など、派手で肌もあらわといった感じのみなりでした。入口で厳重な身体検査、その後、付き添いの職員が構内に入るところまで案内。これから先は、各自の自己責任で行動して欲しいと云われ、後は囚人代表としい収容者にわれわれの身柄は引き継がれました。個人主義というか、プライバシーを守ると云うことで個室中心、その鍵も自分で管理ということで、室内の装飾、テレビ等も自分で用意すれば、なんでも可能といった状況でした。最近は、刑務所に隔離されたことで、自由を制限され、それ以上の強制は科せられた微罪の限界を超えるという説があり、なかにはオートバイを乗り回す、同性愛者が公然と振る舞うといったようにかなり荒れた状況の刑務所もあるということです。英国は、地方の小さな街中、駅前にある刑務所と、ロンドンの最新のハイテク技術によって管理された刑務所、それに医療刑務所、少年院などをみてきましたがも犯罪者が増えたということで、地方の刑務所には個室に2名収容といったところもありました。イギリスは日本の刑務所に似たとこもあり矯正教育という視点で、病院のシーツのクリーニングをしたり、交通標識を作ったりしていました。社会での存在意識を自覚させるといった趣旨だそうです。
最初に英国を訪れた際の英国人、町の様子、二度目に訪れた時の事情とは全く変わってしまっておりました。町には中近東の人たちが多く見られるようになり、上品な、取り澄ました英国人の姿はなく、町もゴミだらけといった状態でした。どちらがよいか解りませんが、最初の時の英国には少々落ち着かない思いを感じたものでした。ヒースロー空港から、ニューヨークに着いて街中を通り、市内のホテルに着いたときには何かほっとした気分になりました。というのも日本と同じか、それ以上に乱雑な町と人がそこに存在したからです。
アメリカは州によって処遇もことなっていますが、死刑執行の場面に立ち会うように作られた死刑執行の部屋にはかなりショックを受けました。
人が、町を作り、文化を創ります。又、人は旅をすることで多くを学びます。その人は、本来、首尾一貫せず、いわば行き当たりばったりの生活を送っています。私などその典型で此までの生涯、ひちすら楽天的に、時の流れに身をまかせた、無頼の生活でした。少なくとも今よりは悪くはなるまいという考えです。だが、世の中、さすがにそうは行きそうにもないと最近、思うようになりました。なぜ楽天的だったか、それは【敗戦】による、あの開放感だ゛ったのではと思います。【平和】に対する期待ではなかったかと、卓話で語れなかったところを少し付け加えました。